この中で、年代の基準として最も信頼できるのは、中期段丘堆積層の時代である。
また、@、Aの両地点の結果は整合的であり、西山断層系の中期段丘堆積層形成後、現在までの上下方向の平均変位速度は、1〜2p/1,000年以下※※とみることができる。文献@、Aでは、中位段丘面の上下変位量を5〜15m、時代を50,000〜100,000年BPとして、上下方向の平均変位速度を30p/1,000年以下と算出しているが、今回の結果は文献の値よりオーダーとしては一桁小さい値となった。実変位量での平均変位速度を計算すると、2〜5p/1,000年以下となる。これを活動度として評価すると、C級以下(以前の評価はB〜C級)となる。
なお、表2−5−4の結果をみると、変位基準とする段丘堆積層が古い程、平均変位速度が大きくなるようである。各段丘の時代については議論の余地があるものの、この結果は時代が下がるにつれて、断層の活動度が小さくなってきていることを示している可能性がある。
※上下:水平=1:2.3(以下)を用いて算出した。
※※後述のように、中期段丘堆積層形成後1回しか活動していない可能性があるため、平均変位
速度としては、100〜200p/90,000年として求めた値より小さくなる。