(7)飯塚市明星寺東方〜穂波町弁分

低位・中位ないし高位段丘面を変位させている低断層崖が連続している。この断層崖の延長部の沖積面上でトレンチを実施し、古期段丘礫層及び基盤の花崗閃緑岩を変位させている断層(走向N58゜、傾斜80゜S)を確認した。

これらの地域で確認された断層の長さは、約29qである。これは文献@、Aでで示された24qより、津屋崎町あんずの里−勝浦付近を加えた分長くなっている。

西山断層系を活動性や活動時期の異なるセグメントに区分するデータは、今回の調査では得られていない。よって、以下の議論では、今回確認した西山断層系の総延長を1つのセグメントとして扱う。

なお、岩淵(1996)は、津屋崎町北西方の大島の北西海域で実施された音波探査結果をもとに、この付近に完新世堆積物を変形させている活構造があることを示している。今回、活断層基礎調査として実施した音波探査でも、大島北西沖に同様の構造が認められたが、西山断層系の北西延長方向にあたる大島南東海域には、完新世堆積物を変位させている断層はみられなかった。これより、大島北西沖の活構造と陸上の西山断層系は直接には連続しておらす、別のものと判断した(第Y編A参照)。