(1)調査結果

1 地形調査

図2−4−1−2−1に調査地付近の地形区分図を、また、図2−4−1−2−2に埋谷面図を各々示す。また、代表的な地形状況をP.49以降に示した。

本地区は、西方の龍王山から延びる山地周辺の緩斜面及び台地の東端に位置する。付近には、かなり広い河川段丘が発達している。段丘面の大部分が中期段丘礫層からなる中位段丘面(M面)で、それを開析して新期段丘礫層からなる低位段丘面(L面)や沖積層が分布している。現河床からの比高は、概ね中位段丘面が比高4〜10m、低位段丘面が比高2〜4mである。

また、今回の調査で古期段丘礫層からなる高位段丘面(H面)も見出された。

H面は今回のトレンチで確認した断層(後述)の西側の丘陵地に分布しており、図2−4−1−2−2に示した埋谷面図からは、次の3ないし4段の面が区分される。

・標高220〜265m付近 高位段丘面3 :緩傾斜の尾根部にあたる。

   堆積物未確認。

・標高110〜140m付近 高位段丘面2':赤色化した礫層を伴う。

・標高 90〜110m付近 高位段丘面2 :高所配水池付近に分布する。

   赤色化した礫層(砂層を挟む)を伴う

   (写真2−4−1−9写真2−4−1−10写真2−4−1−11

・標高 45〜 60m付近 高位段丘面1 :囲ため池周辺に分布する。

   赤色化した礫層を伴う。

これらの内2と2’は分布標高が近接しており、同一面である可能性もある。また、断層を挟んで東側では、飯塚市営斎場付近(標高約50m)にH面に対応する礫層が分布しており、トレンチ近傍のボーリングでも古期段丘堆積層に相当すると判断される礫層(後述)が確認されている。断層を挟んだ両側の地形面対比は、断層による変位を算出するために重要であるが、H面の各面の構成層は類似しているため、対比を確定することはできなかった(図2−4−1−4及び5章参照)。

各段丘面の年代については次項でまとめる。

断層変位地形としては、中位及び低位段丘面上に、北西−南東方向の低断層崖が比較的明瞭に連続して認められる。沖積面上には断層変位地形は認められないが、トレンチ地点は新しい堆積物の変位を確認するために低断層崖延長部の沖積面上で実施した。なお、低断層崖の延長方向にあたる北側の大日寺付近では、このような断層変位地形はあまり明瞭ではない。

2 表層第四紀地質調査

地表踏査の結果と後述するボーリング、トレンチ調査結果をあわせて作成した表層地質図を図2−4−1−5に示す。

・地 質 構 成

本地区では、西側の山地丘陵に分布する白亜紀の早良花崗岩、東側に分布する新第三系の直方層群を不整合に覆って第四系の古期段丘堆積層・中期段丘堆積層・新期段丘堆積層及び沖積層が分布している。各段丘礫層の時代は、構成層上の特徴から次のように判断される。

なお、周辺の代表的な露頭写真を次ページ以降に示した(位置は図2−4−1−5に示す)。

・新期段丘堆積層:他地域との対比に基づき、30,000年BP以降と判断した。

・中期段丘堆積層:構成層上部に、阿蘇−4火砕流堆積物(90,000年BP噴出)起源と思われる角閃石濃集層が見られた(下山委員の検討による)ことから90,000年BPと判断した。

・古期段丘堆積層:全体に赤色土化が進んでいることから、通常赤色土化が開始されると考えられている 200,000年BPより古い堆積物と考えられる。また、これらを亜間氷期の堆積物とすると、最も古いものは400,000〜1,000,000年BPのギュンツーミンデル亜間氷期の堆積物に相当するとみることができる。これをもとに時代を想定すると古いものから順にそれぞれの時代は600,000年 BP、400,000年 BP、200,000年 BP頃とみてよいと思われる。特に、古期段丘堆積層1については、トレンチで出現した本面の構成層に対比される粘土層から、スーパーハイドレーションが進行していることからみて、100,000年BP以前と判断され、かつ屈折率が阿多−鳥浜火山灰(約250,000年 BP)に類似した火山ガラスが検出された(後述)。試料数が少ないため確定できないが、この火山灰データと上記の推定を考慮するとこの地層の時代は250,000年BP前後とみて矛盾はないと思われる。

・地 質 構 造

図2−4−1−4図2−4−1−5図2−4−1−6に調査地全体の地質断面図を示す。

図2−4−1−4に示すとおり、トレンチ調査を行った地点の西側の丘陵地面には古期段丘礫層が分布する。その東側の沖積層より一段高く古墳が設けられている面には中期段丘礫層が分布し、これを削りこんで新期段丘礫層・沖積層が分布する。

図2−4−1−5のトレンチ調査地点を縦断する地質断面図は、後述するボーリング調査の結果をもとに描いたものである。断層を挟んで東側の落ちた側では沖積面下に層厚27mに達する古期段丘礫層が分布している。この礫層は、層相の上で2層以上に区分でき、前述した古期段丘礫層の細区分に対応しているとみられる。

図2−4−1−6はトレンチ調査地点の南側の地質断面図である。中期段丘礫層上限が断層の東側で1.4m程度落ちていると判断される。同様の結果は、下山委員・磯委員を中心とした地形測量によっても得られている(参考図及び第W編@参照)。

3 比抵抗映像法電気探査結果

電気探査は、トレンチ地点西側の明星寺川が屈曲する地点を中心に、南−北(A測線)及び北東−南西(B測線)方向に展開した2測線(各々延長100m、測点間隔1m)に沿って実施した。

調査結果を図2−4−1−7に示す。

本地区の地盤の比抵抗値は概ね350Ω・m以下で、ほとんどの範囲で浅部から深部に向かって徐々に高比抵抗となる。A測線の距離0〜65m間、B測線の距離60〜100m間の表層部には、厚さ1〜2mの相対的に低い比抵抗部(100Ω・m以下、色調:青〜紺)が見られる。これは、後述するボーリングやトレンチの結果と併せて解釈すると、水田の床土ないし地下水位以浅の沖積層の粗砂あるいは粘土に相当する。この部分の下位の相対的な高比抵抗部(100Ω・m以上、色調:緑〜黄〜赤)は基盤の花崗閃緑岩に対応する。

断層周辺では横方向の地質分布の変化を反映して比抵抗値も横方向に変化すると考えると、断層の存在する可能性のある場所として、次の箇所が抽出される。

@ A測線の測点65m付近:起点側の高比抵抗部(200Ω・m以上)と終点側の低比抵抗部(100Ω・m以下)の境界。

A B測線の測点85〜95m付近:起点側の高比抵抗部(200Ω・m以上)と終点側の低比抵抗部(100Ω・m以下)の境界。

@、Aともトレンチで断層が確認された部分に対応する。A、B両測線共、起点側すなわち南西側の高い比抵抗部(100〜350Ω・m、色調:緑〜赤)は花崗閃緑岩に、終点側すなわち北東側の低い比抵抗部(100Ω・m以下、色調:青〜紺)は古期段丘礫層に対応すると判断される。

4 浅層反射法弾性波探査結果

浅層反射法弾性波探査(S波)は、トレンチ地点南東のほぼ東西方向の道路上で実施した。これは、トレンチで確認された断層の延長及び低断層崖とみられる崖の延びの方向と20゜〜30゜斜交している。

解析結果の時間断面図を図2−4−1−8に、深度断面図を図2−4−1−9に示す。

時間断面図では、距離100m〜319m間で、時間200ms〜300ms付近に連続する明瞭な反射波が検出されている。この反射波は距離150m付近、210m付近、260m付近で連続性が途切れている。この結果を深度断面としてみると、この反射面の深さは距離100m〜200mで、標高5〜15mである。これは前述した断層北側の基盤上面の深度とほぼ一致している。すなわち、この明瞭な反射波は基盤岩の上面と判断される。さらに、距離1〜100mでの、標高33m付近に連続する反射波は、基盤上面からのもので、断層南側で岩盤が著しく浅くなることに対応していると判断される。

なお、時間断面図上での距離150m付近、210m付近、260m付近での反射面の不連続部はこの反射面が基盤上面を示すと考えると、トレンチで確認されたもの以外の断層の可能性があるが、その上位の第四系が変位しているかどうかはこの結果からは判断できない。

5 ボーリング調査結果

ボーリング調査は、B測線沿いの断層の南側でbP、bQの2孔、断層の北側の位置でbR孔を実施した。また、トレンチ地点の西側の段丘面上で段丘構成層確認のためのbS孔を実施した(図2−4−1−1及び後出の図2−4−1−10参照)。

ボーリング結果は柱状図・コア写真として巻末資料に収めた。

また、この結果をもとに作成したトレンチ周辺の地質断面図は前出の図2−4−1−8に示した。

・地 質 構 成

ボーリング結果を次項で述べるトレンチ調査結果からまとめた地質構成(表2−4−1−3)に基づいて整理した結果を表2−4−1−2に示す。

表2−4−1−2 ボーリングにおける地質構成と対比      ※ 欠 如

以下に各孔毎の概要を示す。

<bP>

  深度 0.00〜 0.60m:床土(シルト質混り粘性土)

  深度 0.60〜 1.70m:沖積層

            マサ起源の粒子を含む粘性土質砂でトレンチ調査における第4層に対比される。

  深度 1.70〜 2.00m:沖積層

            花崗岩、変成岩の礫径φ=2〜7pの亜角礫を含む砂礫で第5層に対比される。

  深度 2.00〜10.00m:花崗閃緑岩

            深度4.00mまでは、花崗岩起源の粒子を含む粘土混り砂状で土砂化しているが、割れ目             跡も見られることから強風化した地山と考えられる。それ以深は、割れ目沿いに粘土を挟             む風化した花崗閃緑岩でマサ化している。

<bQ>

  深度 0.00〜 0.40m:床土

  深度 0.40〜 1.50m:沖積層

            酸化色を呈する粘性土質の砂で、深度 0.9mまでは黄褐色を呈し第2層に対比される。そ            れ以深は第4層に対比される。

  深度 1.50〜15.00m:花崗閃緑岩

            淡灰色を呈し、指圧で容易につぶれる程度軟質な風化した花崗閃緑岩でマサ化している。

<bR>

  深度 0.00〜 0.60m:床土

  深度 0.60〜 1.20m:沖積層

            灰白色を呈する粘土質砂で第2層に対比される。

  深度 1.20〜 1.60m:沖積層

            2次マサ状の砂質土で第3層に対比される。

  深度 1.60〜 3.00m:沖積層

            礫径φ=2o〜3pの亜角礫を含み、マトリックスはシルト〜砂で第4層、第5層に対比さ             れるが両者の明確な境ははっきりしない。

  深度 3.00〜29.60m:古期段丘礫層

            層厚26.6mと厚いこと、層相等からみて、時代の異なるいくつかの段丘礫層に分かれてい            ると考えられる。

            ・深度3.00〜4.60mは、小礫(礫径φ=1〜3p)を含む粘性土。

            ・深度4.60〜6.30mは、還元色を呈する細粒層。

            ・深度6.30〜15.1mは、三郡変成岩起源(花崗岩礫を若干含む)の亜角

             〜亜円礫(φ=1〜5p)を含む礫混り粘性土層。

            ・深度15.1〜19.4mは、還元色を示す細粒砂ないしシルトからなり、

             炭質物を含む。

            ・深度19.4〜25.9mは、礫径φ=1〜5p程度の珪質な細粒砂岩礫(三

             郡変成岩起源)を含む礫混り砂〜シルトである。

            ・深度25.9〜27.6mは、比較的礫の大きいφ=3〜15p程度の亜角礫〜

             亜円礫を含む砂礫層になっている。

            ・深度27.6〜29.6mは、基質がシルト質で径1p以下の礫を多量に含

             み、非常に締まっている。

            ・深度29.1〜29.6mは、2次マサ状の堆積物を若干含む。

<bS>

  深度 0.00〜 0.20m:耕作土

  深度 0.20〜 1.10m:古期段丘礫層

            基質は風化が進んでいる。礫は軟質でクサリ状のものから、硬質、緻密なものまで種々の            ものが含まれる。

  深度 1.10〜 5.00m:花崗閃緑岩

            風化が進み、マサ化した花崗閃緑岩。

・地 質 構 造

図2−4−1−10に示したように、沖積層(第1層〜第5層)は緩く下流側(北側)へ傾斜しており、断層を挟んだ両側で構造的な違いはみられない。それに対して基盤の花崗岩は、断層の南西側のbP、bQ孔では上面深度がGL−2m付近であるが、断層の北東側のbR孔では上面深度はGL−29.6mまで下がり、この間隙を古期段丘礫層が埋めている。トレンチで確認された断層位置から判断すると、この基盤上面の落ち込みは、水平距離0.5m以下で比高27.6mときわめて大きい。

また、断層を挟んで西側(隆起側)の段丘面上には古期段丘礫層が緩く下流側へ傾斜して分布しており、bS孔では層厚90p程度の礫層が確認されている。

この礫層下の基盤上面を断層位置まで延長して、断層による基盤上面の変位量を求めると、図2−4−1−5に示したように約35mとなる。

6 トレンチ調査

トレンチ調査は、前述のように低断層崖の延長部にあたる沖積面上で実施した。調査結果は図2−4−1−11のトレンチ及びボーリング地点詳細位置図、図2−4−1−12のトレンチ地質平面図、図2−4−1−13図2−4−1−14図2−4−1−15のスケッチ図、写真2−4−1−1写真2−4−1−2写真2−4−1−3写真2−4−1−4写真2−4−1−5に示した。

・地 質 構 成

地質観察結果をもとに、トレンチ部における地質構成表は、表2−4−1−3の地質構成表のように区分した。

地表から深度2〜3m付近までは沖積層が分布している。これは5層に区分される。この内、上位の第1、2層(過去の水田床土を含む)は礫混りシルトからなり、かなり人為的に乱された地層と判断される。下位の第3、4、5層は2次マサ状の粒子からなる中〜粗粒砂層ないし砂礫層であり、現河川によってもたらされた堆積物と考えられる。それぞれ、鎌倉・平安・弥生の各時代の遺物を包含している。特に4層には人為的に木杭が打設されている。5層下限は浸食によって形成された凸凹のある不整合の面となっており、断層の南側では基盤の花崗閃緑岩を直接覆い、断層の北側では火山灰分析結果から、古期段丘構成層と判断される粘土層(6A層)と砂礫層(6B層)を覆っている。

・地 質 構 造

図2−4−1−13に示すように、トレンチの北端に近い位置に基盤岩の花崗閃緑岩と古期段丘礫層を境する断層が確認された。この断層は走向N52゜W、傾斜80゜Sで厚い軟質な粘土を伴っている。地質平面図及びスケッチ図に示すとおり、基盤の花崗閃緑岩の上面は凸凹はあるものの大局的には断層の南側ではほぼ水平で、標高36.5m付近に位置するが、ボーリング調査結果で述べたように断層を境に北側では標高10m付近まで

落ち込み、その間を厚い古期段丘礫層が埋積している。この礫層は、トレンチ南側では丘陵の尾根部に分布しており、このことからみて、この断層は数10万年前に形成された古期段丘礫層に変位を与えている活断層であると判断される。

また、断層面は高角で南傾斜を示しており、高角の逆断層という性格を有している。

一方、沖積層(第1層〜第5層)は断層による変位は受けておらず、断層を挟んで南側で花崗閃緑岩を、北側で古期段丘礫層を、局部的な凹凸はあるもののほぼ水平に不整合で覆っている。

図2−4−1−14の断層近傍のスケッチ図に示したように、この断層は厚さ15p程度のオリーブ灰色を呈する軟質な層粘土を伴っている。粘土中には円磨され

た石英の粒子を含んでいる。断層面には鏡肌や条線は観察されなかった。断層下盤側の6B層は断層近傍の幅15p程の部分では、礫の長軸方向が断層に沿った方向に配列している。6A層内でも級化構造が全体として断層に沿ってひきずられている。このような粒子の配列は、北側落ちの変位センスを示している(図2−4−1−14参照)。

なお、基盤の花崗閃緑岩中には無数のヘアークラックや粘土シームを挟む割れ目、小断層がみられる。特にトレンチ北側面では、破砕部を伴う主断層から派生した断層が、西側法面部では走向N53゜W、傾斜86゜NEの小断層が見られるが、いずれも第四系には変位を与えていない(図2−4−1−15参照。)

また、第4層には砂層の乱れが認められ、地震に伴う液状化現象である可能性が指摘されたが、液状化と考えた場合でも、西山断層に起因する地震以外のものである可能性が考えられる。人為的な攪乱である可能性も含めて、明確にはできなかった(図2−4−1−16参照)。

7 考古遺物分析

トレンチ出土遺物については、松村委員(久留米市教育委員会文化部文化財保護課)に鑑定して頂いた。以下に鑑定結果をまとめた。第3、4、5層から中国製陶磁器、土師器、須恵器、木製品などが出土したが、土器類は小片が多く、図示可能なものは少ない。

出土遺物を図2−4−1−17に示す。

第3層

1は中国龍泉窯系青磁小で、釉は灰緑色気味である。内面に片刃・櫛刃彫りの花文を施す。十四世紀に比定される。

2は中国産のいわゆる“口ハゲ”の白磁皿で、口唇部内面の薬釉が掻き落とされている。十三世紀の所産。第3層からは他に木製下駄(差し歯)が出土している。

第4層

3・4は土師器杯、あるいは椀の口縁部、5も同じくそれらの底部で、ヘラ切りである。他に須恵器かめ胴部が出土した。

第5層

6は弥生土器の底部で、器形の特徴から中期初頭の城ノ越式土器のかめ底部と考えられる。他にもう一点、二次的焼成の痕跡を残す弥生土器かめの底部片が出土したが、外面は化粧土の、また内面の器壁の剥落が著しい。

〔所 見〕

遺物は第3、4、5層から出土したが、各層は順に鎌倉時代、平安時代後期、弥生時代中期に比定され、出土遺物の年代と層位関係に矛盾はない。

本トレンチ掘削地点では、断層面は弥生時代中期初頭の遺物砲丸層である第5層に覆われていることから、少なくとも最新の活動はおおよそ 2,100年以前といえる。

8 14C年代測定

トレンチ壁面から採取した試料について14C年代を測定した。図2−4−1−11にサンプル採取位置を示した。測定結果を表2−4−1−4に示す。

平安時代の遺物が出土している第4層の粘性土及び中粗粒砂層中の木片(3試料)の14C年代は、440、620、860年BPを示しており、遺物からみた年代と整合的な値となっている。

9 火山灰分析

トレンチ壁面第6層から採取した21試料、及びボーリングコアから採取した61試料及び周辺の露頭について火山ガラス含有率を想定し、火山ガラスが比較的多くカウントされた9試料について、火山ガラスの屈折率及び鉱物組成を測定した。

図2−4−1−11にトレンチ壁面におけるサンプル採取位置及び測定結果を示し、表2−4−1−5表2−4−1−6表2−4−1−7及び図2−4−1−18に火山ガラスの測定結果を示す。火山灰ガラス屈折率測定に関するデータシートは巻末資料中に収めた。ボーリングbRのコアサンプル及びトレンチ壁面第6層のサンプルでは、ほとんどの試料で火山ガラスは観察されず、A−6サンプルの1試料からのみ検出された。検出された火山ガラスのインデックスは 1.504であり、スーパーハイドレーションが認められることから推定すると、水和された阿多−鳥浜テフラの可能性が考えられるが、検出数が少ないため参考データとして扱う。

考古遺物、火山灰分析、14C年代の測定結果をもとにまとめた各地層の年代を表2−4−1−8に示す。