以下に主に既往文献データ※を踏まえ、各地層の特徴をまとめる。
<三郡変成岩類>
三郡変成岩は、宗像市本木山付近〜西山〜若宮町力丸ダム西方の山地〜飯塚市八木山付近にかけての広範囲の山地部に分布する。岩相は、緑色片岩、泥質片岩、砂質片岩、黒雲母片岩、大理石、蛇紋岩等からなる。また、花崗岩の貫入により接触変成作用を受け、ホルンフェルス化しているものが見られる。
<白亜紀花崗岩類>
津屋崎町須多田付近及び若宮町若宮ゴルフ場〜湯原付近にかけて、平尾・朝倉・鞍手花崗閃緑岩が、飯塚市蓮台寺〜明星寺付近にかけて、早良花崗岩が、福間町周辺には、糸島花崗閃緑岩が、それぞれ分布する。平尾・朝倉・鞍手花崗閃緑岩は、中〜粗粒・塊状で優白質であり、柱状の大形ホルンブレンドを含。早良花崗岩は、主に粗粒な黒雲母アダメロ岩で、長さ1〜2pの斑状のカリ長石を含む。糸島花崗閃緑岩は、主に粗粒〜中粒で片状構造をもつ花崗閃緑岩〜トーナル岩で、部分的にかなり優白質であり、まれにペグマタイト・アプライトを多く伴うとされている。 ※参考文献:「日本の地質9、九州地方」(唐木田、ほか1992)
<古第三系堆積岩類>
宗像層群、直方層群は、津屋崎町奴山〜大井ダム付近、飯塚市弁分付近に分布する。津屋崎町〜宗像市付近でが主に礫岩、砂岩と泥岩の互層からなり、凝灰質泥岩を挟む。県道勝浦・宗像線沿いには関門層群と接触している断層露頭(走向45゜W,62゜W)が見られ、地層の走向傾斜でもリニアメント周辺で乱れている(写真2−4−3−2)。飯塚市潤野〜弁分付近では石炭層を挟む砂岩・泥岩互層の直方層群からなる。
明星寺地区トレンチ箇所の東側の丘陵には粗粒な石英礫を含むアルコース質砂岩が分布しており、花崗岩類との断層接触関係が見られる。明星寺地区から弁分にかけては、かつて石炭の採掘が行われていたが、現在は住宅地となっている。
<第 四 系>
第四系は、各河川沿いに段丘構成層ないし沖積低地堆積層として分布している。上記の古い地層を起源とする粒子からなる礫層や砂層を主体とすることが多く、シルト〜粘土層を挟んでいる。一部は炭質物を含んでいる。層相変化が著しい。 段丘構成層は、調査値全域を通じて古期・中期・新期に区分できる。
古期段丘構成層は、全体に強く風化を受けて赤褐色を呈しており、いわゆるクサリ礫を多く含んでいる。さらに細分される可能性があるが、細分化した構成層の分布把握、対比を調査地全域で行うことは難しい。
中期段丘構成層は、褐色を帯びた半クサリ礫を主体としている。一部で阿蘇−4火砕流堆積物に覆われていることから見て、年代は90,000年BP以前と推定される。
新期段丘構成層中の礫は風化をあまり受けておらず、硬質である。
構成層の最上部にAT火山灰※やk−Ah火山灰※※由来と見られる火山ガラスを含むことがあるが、今回の調査では広域火山灰の純層との関係は確認できなかった。
沖積低地体積層は、現河川流路沿いに分布しており、含まれる礫は一般に新鮮で硬質である。
※姶良Th火山灰の略称。23,000〜25,000年前に噴出。
※※鬼界−アカホヤ火山灰の略称。6,300年前頃に噴出。