「西山断層系、水縄断層系及び警固断層系に関する調査委託」
2.目 的
本調査は、西山断層系、水縄断層系及び警固断層系に関し、断層の位置及び活動履歴を調査し、長期的な活動についての評価を行い、地震防災に関する基礎的な資料を得ることを目的として実施した。
3.調査地域
調査は、「日本の活断層」に示される西山断層系、水縄断層系及び警固断層系を対象とした。
本調査は、既存資料にとらわれず各断層系の詳細位置を調査する方針とした。
従って、この調査計画書においては、既往資料等による断層位置を中心として幅約1kmの範囲を対象範囲として設定した。図1−1−1、図1−1−2、図1−1−3に調査対象範囲を示した。
4.調査期間
平成8年2月29日〜平成8年12月25日
5.調査内容
調査の内容は次のとおりとした。なお、調査数量、調査手法及び調査結果の解釈に際しては、福岡県活断層調査検討委員会の委員又は福岡県活断層研究会研究班の各代表者の指導及び助言を受けた。
なお、調査の進行に伴い、時々の委員会の答申を踏まえ、調査内容及び調査数量を逐次変更した。
@各断層の詳細位置を明らかにする調査。
既存資料(「日本の活断層」など)にとらわれず、断層両端位置・分岐断層の有無も含めた詳細位置を明らかにし、トレンチ掘削地点の選定に活用する。
A各断層系の第四紀における活動履歴を明らかにする調査。トレンチ掘削調査等により、活動履歴を示す資料を得る。
B各断層系について、Aのために必要な範囲の第四紀地質図(第四紀層の地質断面図添付)を作成する。特に、市街地域においては既存資料及び下記
D項の調査資料を活用する。
C断層を含む幅約10kmの地帯の地形・表層地質区分図を作成。
空中写真判読結果と地表地質調査結果をこの図に表現する。
D上記各項目の実施に役立つ資料を得るための有効な調査。
ボーリング調査・物理探査(反射法・電気探査など)・考古学資料調査(資料収集を含む)。
E上述の全ての調査結果、並びに福岡県内の断層系に関する既存のデータを総合的に解析し、断層の位置,活動履歴及び長期的な活動についての評価を行う。
6.福岡県活断層調査検討委員会が指定する基礎調査
福岡県内の活断層は一部を除いて本格調査の経緯がなく、また、各活断層には自然的条件の他、立地上の調査制約などの調査条件の違いがある。しかも、活断層の調査方法には一定の方式があるわけではないため福岡県内の各活断層の調査が進むにつれて各項目にわたって未解決の多くの問題が出てくると予想された。よって、問題点を解決しながら、一定期間内に委託調査を有益な結果を得て完了させるためには、本調査以外に各専門家による基礎研究を並行的に進めて、活断層に関する情報量を思い切って増大させる必要がある。この目的の下、委託調査を補完するだけでなく、福岡県活断層検討委員会が本調査を適切に指導し、調査結果を客観的に評価するに当たって、特に必要な情報を直接得るための基礎調査が実施された。