そのため、今回実施したような地下浅部を対象とした弾性波探査、ボーリング調査およびトレンチ調査では、それらの「深部断裂」の活動履歴を明らかにすることは不可能であることが明らかとなった。
今回の調査の大きな成果の一つとして、13世紀後半から15世紀に発生した強い地震動により形成されたと考えられる日本で最大級の噴礫を確認したことが挙げられる。しかしながら、13世紀後半から15世紀の間に福井平野において大きな地震が発生したとする記述は歴史資料に見当たらないことから、未知の歴史地震の発見と言える。
以上のことから、福井地震断層や福井東側地震断層の活動履歴により、それらの断層が再び活動することによる地震の予測は困難である。また、噴礫から未知の歴史地震が発見されたように、福井地方にいつ大地震が発生するか予測することも困難である。
福井平野における地震災害軽減のため、今後も詳細な地下構造調査に基づく地震動予測等の調査研究を推進していきたい。