(4)P波反射断面の再解析結果

P−5孔で実施したPS検層結果を基に、P波反射断面の再解析を行った。

再解析結果の結果、測線距離程400m付近の表層部やいくつかの反射面の深度に若干の変化が生じたが、全般的には平成9年度の結果とほとんど類似した傾向となった。再解析した結果、振幅強度をカラー表示した反射断面を図2−9に示す。また、ボーリング結果との対比のため、縦軸を大幅に引き延ばし(縦横比が1:20)た断面図にボーリング柱状図を記載し、図2−10に示す。黒く塗りつぶしたプラス極性(軟→硬の物性境界)の境界は砂礫層等の上面境界に一致しており、そのうち橙色に着色した反射面は連続的に追跡される。赤色に着色した反射面は基盤岩である第三紀層の上面境界である。

再解析結果やボーリング結果をもとに解釈した結果を図2−11に示す。反射断面からは、F−1およびF−2に対応する地下深部において、基盤上面および第四紀層の変位・変形が反射面の変位・変形として捉えられ、福井平野の地下深部には東側隆起の断層が存在することが示された。しかし、この地下深部で認められた東側隆起の断層変位は、さらに上位の第四紀層中では地層の厚さの累積的な変化として認められるものの、反射面は概ね連続して追跡され、断層変位として捉えることはできない。反射面の変形は地下浅部でさらに不明瞭となり、そこでは有意な変形を読み取ることはできない。

F−3については、第四紀層中の反射面の追跡が困難であるが、これはP波反射法弾性波探査の精度の限界であり、当該部分の詳細な検討は、S波反射法弾性波探査およびボーリング探査によって行った。