測線140m付近を境として反射パターンが異なり、東側では標高0mから下位に第三紀層が分布するが、西側では標高ー40mまで第三紀層が分布しておらず、この付近に 断層等の不連続があると考えられる。地層境界は、西側に比べ東側が相対的に高くなっており、この不連続は東上がりのセンスを示し、当該部は、篠岡断層北延および福井東側地震断層トレース位置に一致する。
また、S波測線の南側約2kmに位置するP波測線では、福井東側地震断層に相当する部分を境として、第三紀層の上面境界が最大70m程度変位している結果が得られている。本S波反射法結果でも第三紀層の上面境界は、この不連続を境として50m以上変化していると推定され、P波反射法結果と一致する結果が得られている。
以上のことなどから、この不連続は福井東側地震断層に相当すると推定される。
福井東側地震断層が推定される測線60〜150m区間では、反射パターンの変化などから赤色で示す複数の断層が想定され、P波反射法結果と整合的な結果が得られている。これら複数の断層の内、測線150m付近に赤色の破線で示す断層は、小笠原(1949)に記載されている西上がりの断層と調和的であり、福井東側地震断層に関連した副次断層の可能性が考えられる。
福井東側地震断層が推定される部分では、このように複数の断層が認められ、第三紀層上面境界は50m以上の変位も推定されるが、砂礫層上面境界(橙色)に対応する反射面は西側に傾斜しているものの、反射面に明瞭な食い違い等は見受けられない。したがって、地表付近の浅所の地層はP波反射法結果に見られるような撓曲構造の可能性が考えられる。