(6)福井東側地震断層

福井東側地震断層は、日活(1991)により、NNW−SSE走向、長さ8km、水準点を変位基準として西上がりの活断層とされている。

小笠原(1949)は、篠岡付近の小丘部において、中新世の凝灰岩と円礫を主とする礫層が粘土と礫を含む断層破砕帯を境に接する西側隆起の衝上断層の露頭(図3−1−3)を認めたほか、イカツ川扇状地および松岡付近における九頭竜川扇状地が逆傾斜する形態について記載し、これらを洪積世の後半以降、沖積世を通じて活動した断層活動の結果であるとして本断層の分布を推定している。なお、日活(1991)は、この断層露頭を前述の篠岡断層の逆断層運動に付随して生じた断層の露頭との解釈も可能であるとし、福井地震によって生じたものではなく、副次的な断層の可能性を示唆している。

また、小笠原(1949)は、福井から大聖寺に至る水準路線に沿った精密測量結果の断面(図3−1−3)において、福井地震断層を境に隆起した東側の地域のうち、本断層分布位置付近でやや沈降傾向が認められることを指摘し、この変形を本断層の西側隆起の変動に対応するものとした。しかし、この区間においては、全体として福井地震断層を境とした東側隆起の変位が示されていることから、この西側隆起の変動は、全体的な東側隆起の変動に伴う局所的なものであると考えることも可能である。