@反射波の強さおよび既存のボーリングデータなどから、反射面Y(赤色)は福井平野東部の山地を形成する第三紀層(浄法寺累層火山岩類)の(基盤)上面に該当すると推定される。
A測線始点付近の基盤上面深度(約300m)は、天池ほか(1984)により測線北方の田島川付近で行われた屈折法探査結果(約270m)や鳥海ほか(1993)による福井平野地下構造調査(発破実験)結果(最大約400m)と矛盾しない。
BT〜Xと付した反射面(橙色)は、第四紀の粘土層、砂層および砂礫層の地層境界部に対応すると判断される。
C測線2,000m、3,200mおよび5,200m付近では、第四紀層内の反射面に段差や食い違いが認められ、計3ヶ所に断層が分布すると推定される。
D断層が推定される位置を境として、それぞれの反射面高度は東側が高くなっており、すべて東側上がりの断層センスである。
E測線2,000mおよび3,200m付近の断層性状等
・断層を境として第四紀層内の反射面は下位ほど変位量が大きく、累積性を示す。
・地表に近い部分では、反射面の食い違いは不明瞭で、撓曲構造として認められる。
・小笠原(1949)による地震断層トレースの位置は、測線2,000m付近に相当する。
・測線2,000〜3,200m間の地表部は、50年前の地震時に噴砂や地割れなどが多く見受けられた地変集中域にあたる。また、天池ほか(1984)では、基盤岩の食い違いが1〜2ヶ所推定されていることなどから、この付近の断層は福井地震と密接に関連している可能性が高い。
F測線5,200m付近の断層性状
・第三紀層の上面境界の変位量は最大約70mに達して第四紀層内の反射面も乱れており、地下浅所まで断層活動の影響を受けていると推定される。
・この位置は、小笠原(1949)による福井東側地震断層のトレース位置にほぼ一致し、福井地震と関連している可能性が高い。
G天池ほか(1984)では、福井地震断層付近での基盤面の食い違いは数10m〜最大200mと推定されているが、今回得られたそれぞれの断層での基盤面の食い違いは50〜70m程度である。
H本調査地区より南側約3kmの福井大橋付近の九頭竜川河川敷で、井上ほか(1996)によりP波浅層反射法が実施されている。その結果では、福井地震断層トレース付近で反射面が不明瞭になるが、200mに及ぶ地層の食い違いは認められないとされており、今回の結果と整合的である。
I第三紀層の基盤内に明瞭な反射面は得られていないが、震源は深度500〜600m程度までの反射構造を十分に捉えられるパワーを有していると考えられる。したがって、深度500〜600mまでは、基盤内に反射波を形成する明瞭な境界がないと判断される。
表1−3 反射面概略高度差表