3−4 柳ヶ瀬断層帯の評価

柳ヶ断層帯を構成する活断層は、福井県内で甲楽城断層、柳ヶ瀬断層および「活断層であることが疑わしい山中断層」である。

甲楽城断層の活動度は、撓曲部での層厚の変化、および海成中位段丘面高度から求めた隆起速度からB級と評価されているが、断層南端端部では、数万年前以降、活動していない。

山中断層は明瞭は断層地形と断層破砕帯などが認められず、活断層であるこことが疑わしい断層と評価される。

柳ヶ瀬断層北部は、椿坂峠以南の柳ヶ瀬断層南部と異なり、活動動は低いと評価される。即ち、最新活動時期では、南部は西暦1325年(正中2年)に活動したことが明らかとなったいるが(杉山他、1993など)、北部の椿坂峠北側ではアカホヤ火山灰降下(約7,000年前)以降の変位は認められず(地質調査所,1998)、その北方の中河内付近では34,250年B.P.より古い年代値を示す木片を含む小扇状地性堆積物は変形を受けていない(武藤他、1981)。また、このような年代から示される活動性とリニアメントや断層地形から判読された活動度とは一致する。

柳ヶ瀬断層北部で実施した本調査結果はこれら既調査結果を支持し、柳ヶ瀬断層北部と南部で活動履歴が異なることが、明瞭となった。

さらに、柳ヶ瀬断層帯の内、甲楽城断層南端部から柳ヶ瀬断層北部にかけては、活動度は低く、最近数万年間の活動は認められなかった。柳ヶ瀬断層北部と南部は同時に活動するとは限らず、最新活動は南部のみであった。また、柳ヶ瀬断層と甲楽城断層との間にある山中断層は地形・地質学的調査結果から「活断層であることが疑わしい断層」と判断された。

以上のことから、柳ヶ瀬断層と甲楽城断層が同時に活動する可能性はないものと判断した。