個々の断層と撓曲の連続性は、運動の様式の同一性、即ち断層面等の様式(走向、傾斜)や断層・撓曲のセンス(変位・変形の運動方向)、断層のタイプ(変位・変形量、活動度、活動履歴)に着目しておこなった。
なお、層理の連続性に変化が見られるが、基盤面が変位していることが確認できないものを「推定断層」とした。
調査の結果、連続性のある断層はF−0、F−1,F−2,F−3断層およびT−0撓曲の5条が認められた。調査海域に分布する断層の位置を図2−3−3−5−1、図2−3−3−5−2及び図2−3−3−8に示す。
連続性のある断層と撓曲の長さは、断層・撓曲が認められない、隣接測線との中点までとした。両側または片側が調査範囲外に延びており末端部が不明のものは両端の測線間の距離以上とし、不明理由を付した。
断層の変位(変形)量は、マルチチャンネル音波探査記録で判読した以下の面で測定した。
@断層両側の平坦な地層面(「引きずり」など断層運動による変形を受けていない部分)を延長した面の比高。
A平坦な地層面が存在しない場合は、変形している地層面と接する水平面を延長した面の比高。
ただし、・の場合は誤差を多く含むものと考えられる。なお、海底面の変位(変形)量はマルチチャンネル音波探査記録では判読できず、表層音波探査記録から判読した。変形のみ認められるものはその旨、記した。
連続性のある断層の一覧表を表3−1−2−1に、断層検討結果図を図3−1−2−1に、各測線での断層変位(変形)量を図3−1−2−2−1、図3−1−2−2−2、図3−1−2−2−3、図3−1−2−2−4に、断層付近の音波探査記録及び解析図を巻末にそれぞれ示している(付図2)。
以下、連続性のある5条の断層・撓曲について、その性状を述べる。
(a)F−0断層
F−0断層は、調査海域の南部のNo.16,No.17測線で推定されたものである。走向は北西ー南東方向で、落下側は南西であり、長さは約1km以上である。
断層運動により変位している地層はP1層下部以下(以深の地層)で、変形している地層はP1層上部であり、海底面に変化が認められる。
断層による地層の変位量は、不明である。
(b)F−1断層
F−1断層は、調査海域北部のLine1及びLine2測線で推定され、走向は北北東−南南西方向で、落下側は西北西であり、長さは約3km以上である。また、Line2測線では逆断層の傾向が見られる。
断層運動により変位している地層は、Line1測線ではP1層以下、Line2測線ではB層下部であり、変形している地層はLine1測線ではP1層、Line2測線ではP2層、P3層、P4層及びB層上部である(変形している下位の地層から話をすべきでは)。
断層の変位・変形量は、P1層基底面を基準とすると約30〜50m、P4層基底面で約90〜100mである。
(c)F−2断層
F−2断層は、調査海域中央部〜南部のLine4〜Line6測線で推定または認められ、走向は北北東−南南西〜南−北、相対的落下側は西であり、長さは約6km以上である。また、本断層は各測線で顕著な逆断層の傾向を示す。
断層運動により変位している地層は、P3層下部以下(一部P3層以下)である。また、変形している地層は、Line4測線ではP3層中部のみ、Line5及びLine6測線ではP1層及びP2層(一部P3層上部)である。
断層の変位・変形量は、P1層基底面を基準とすると約0〜100m、P4層基底面で約230〜330mである。
(d)F−3断層
F−3断層は、調査海域南部のLine7測線、並びに、海上保安庁水路部No.15−1測線及びNo.16測線で推定され、走向は北北東−南南西、相対的落下側は西北西であり、長さは約1km以上である。また、Line7測線では逆断層である。変位している地層はP3層以深の地層で、変形が及んでいる地層はP1層下部ととP2層である(P1層上部はどうなったのか)。
断層の変位・変形量は、P1層基底面を基準とすると約10m、P3層基底面で約140mである。
なお、海上保安庁水路部測線では深部の情報に乏しく、そこでの詳細は不明である。
(e)T−0撓曲
T−0撓曲は、調査海域の南部のLine7測線で認められ、走向は北西−南東、落下 側は南西である。長さは約4kmである。
撓曲運動により変位している地層はP1層の一部であり、変形している地層はP1層以下である。・・・文章のみでは意味不明
変形量はP1基底面を基準にすると約90m、P3層基底面では約270mである。