動力炉・核燃料開発事業団(1980):1)高速増殖炉もんじゅ発電所原子炉設置許可申請書。
海上保安庁水路部(1980a):5)沿岸の海の基本図(5万分の1)「若狭湾西部」海底地形図、海底地質構造図および調査報告。63374号.
海上保安庁水路部(1980b):6)沿岸の海の基本図(5万分の1)「若狭湾東部」海底地形図、海底地質構造図および調査報告。63368号.
関西電力株式会社(1985):8)大飯発電所原子炉設置許可申請書(3,4号炉増設)。
日本原子力発電株式会社(1980):12)敦賀発電所原子炉設置許可申請書(2号炉)。
山本博文・上嶋正人・岸本清行(1993):23)経ヶ岬沖海底地質図1:20万および同説明書。地質調査所、海洋地質図、40号。
これらの文献の内、海上保安庁水路部(1980a)および同(1980b)は海域が隣接しており、音響層序区分および地質時代対比が一致している。また、動力炉・核燃料開発事業団(1980)および日本原子力発電株式会社(1980)は、海上保安庁水路部(1980a)と調査海域が重複しており、その音響層序区分および地質時代対比をほぼ全面的に踏襲している。関西電力株式会社(1985)は海上保安庁水路部(1980b)と調査海域が重複しており、音響層序区分はほぼ全面的に一致しているが、地質時代対比は一部で異なっている。
以上の文献はいずれも若狭湾内の比較的浅部を対象としているが、若狭湾およびその沖合の深部構造を対象として、山本他(1993)は石油探鉱のボーリング結果などと対比することにより信頼性の高い時代対比を行っている。
従って、浅部を対象として本調査海域と重複する海上保安庁水路部(1980b)と、深部を対象として山本他(1993)と地質層序の対比を行った。地質層序対比断面図の位置図および地質層序対比断面図をそれぞれ図2−3−3−6および図2−3−3−7に示す。
(a)海上保安庁水路部(1980b)(「若狭湾東部」)断面図との対比
本調査のP1層基底面が海上保安庁水路部(1980b)のUW層基底面に一致したが、P2層以深の地層境界面は海上保安庁水路部(1980b)の探査深度外のため対比できなかった。従って、本調査のP1層は海上保安庁水路部(1980b)のTW層およびUW層に相当する。
海上保安庁水路部(1980b)は、音響層序的特徴からTW層およびUW層をそれぞれ沖積統および上〜中部洪積統に対比している。これに対して、海上保安庁水路部(1980a)と重複する海域で調査を行っている関西電力株式会社(1985)は、調査海域内で行ったボーリング試料の地質年代測定、微化石分析などの結果から、TW層に相当するA層を沖積層、UW層に相当するB層を上部洪積層、UW層基底面に相当するC層上面をミンデル・リス間氷期末期〜リス氷期初めに形成された不整合面に対比している。
海上保安庁水路部(1980b)と関西電力株式会社(1985)の地質時代対比を比較すると、UW層−・W層境界(B層−C層境界)の対比が異なっているが、ボーリング試料の地質年代測定、微化石分析などから対比している後者の方がより信頼性が高いと考えられることから、本調査ではP1層の地質時代を関西電力株式会社(1985)のB層に対比した。B層は関西電力株式会社(1985)の記載から、下末吉海進(約15Ma以降)に伴って堆積した地層と解釈されるので、上部更新統と考えられる。
(b)山本他(1993)(「経ヶ岬沖海底地質図」)断面図との対比
山本他(1993)の地質図図示範囲は若狭湾西半部およびその沖合海域であり、その中で本調査海域に最も近いC−D断面図東端部は、本調査海域と約18km離れている。しかし、山本他(1993)に添付されている説明書中の一部の平面図は本調査海域を含んでおり、C−D断面図東端部付近と本調査海域沖合部の間には大きな地質構造的変化がないと推定される。従って、C−D断面図東端部付近にみられるT2層−K2層の顕著な不整合は、本調査のP層−B層の顕著な不整合に対比することが妥当と考えられる。また、上記説明書中のT2層等層厚線図は、本調査海域西端部付近に分布するT2層の層厚が0.6秒前後であることを示しており、その付近のP層の層厚が500m前後であることと調和的である。
山本他(1993)は採取した海底試料および石油関連の基礎試錐試料の微化石分析結果などから、T2層を最下部を除く更新統〜完新統、K2層およびその下位のK1層を中新統〜最下部鮮新統に対比している。
従って、本調査ではP層を山本他(1993)のT2層に、B層を同K2層およびK1層に対比し、その地質時代はそれぞれ最下部を除く更新統〜完新統および先第四系と考えられる。
地質層序対比結果を表2−3−3−3に示す。なお、同表で地層境界線は各文献が示している地質時代を表現しており、各文献の地質層序を示している柱状をつなぐ破線は、図2−3−3−7の断面図などで対比し、同一層準と解釈した地層境界面を示している。