(a)測量方法
船位測量は陸上基地局の設置位置を決定する基準点測量と、GPSによる船位測定とに分けられる。
(イ)基準点測量
基準点測量は陸上基地局に必要な条件、すなわち、距離精度を保つために調査海域に近いこと、GPS衛星の電波を常時受信できるように水平方向の見通しがきくこと(図2−3−1−2)などの条件を満たす場所を選定し、選定した基地局の座標を決定するために行われる。なお、本調査では、国土地理院三角点を基地局点として使用した。
調査で使用した基地局の所在地、座標値などを表2−3−1−2に、基地局の位置図を図2−3−1−3にそれぞれ示す。
(ロ)船位測定
ディファレンシャル方式GPS(DGPS)法は、同じ衛星のデータを2つ以上のGPS受信機を用いて受信する。すなわち、陸上の既知点に設置したGPS基地局のアンテナで受信したGPS測位データによる位置と、真の位置との誤差を測定して補正値とし、この補正値を調査船のGPS移動局に伝送して精度を上げる方法である。ただし、この方法でもランダム誤差は除去できない。
本調査では、基地局と移動局の2台のGPS受信機を使用し、両局間の通信には移動電話を使用した。図2−3−1−4に船位測定の概念図を示す。
(b)電波測位機
調査に使用した電波測位機は、アシュテック社製のDNS−12GPS受信機である。GPS受信機は、調査船に設置される移動局と陸上に設置される基地局とで構成されるが、移動局、基地局共に同機種のGPS受信機を使用した。
移動局はGPS受信機とアンテナ、電話・モデム、パソコン(誘導画面を表示し、データを保存する)とで構成され、互いにケーブルで接続される。移動局の内、アンテナは調査船のマスト上などの見晴らしの良い場所に、その他は調査船のブリッジに設置される。
基地局は移動局とほぼ同様の機材で構成される。基地局の内、アンテナは陸上の予め座標が決定している地点に三脚で固定され、その他は車内に設置される。
調査船の位置は、移動局と基地局の相対距離ベクトルを測定して決定される。移動局側の位置データ、すなわち、緯度、経度および時間は本体パネルのディスプレイ画面上に表示され、誘導用パソコンに保存されると同時にプリンタに出力される。DGPSの仕様を表2−3−1−3に、構成図を図2−3−1−5にそれぞれ示す。