甲楽城断層は北北西−南南東方向に延び北東側では隆起し、南西側では沈降する断層運動が文献から知られている。この見解を確かめるため、甲楽城断層が通過している海域の北東側の陸域を含め、空中写真判読をおこなった。
判読内容は、隆起したとされる中位段丘面の分布と同段丘の区分の検討と隆起速度については文献との比較検討および完新世段丘の分布、断層地形の抽出と地形の特徴の把握を目的とした。
踏査は、甲楽城断層の陸域と山中断層北部を対象として、空中写真判読からの断層推定位置および文献記載からの断層推定位置を詳細に踏査し、同断層の存在の有無、断層上載層の確認、周辺地層の分布状況等の確認を目的として、断層周辺を含めてルートマップを作成し、地質図を巻末に添付している。
また、完新世段丘については、段丘の分布、旧海岸汀線を示唆する地形とその高度および段丘構成−特に年代測定試料となる貝化石の採取に努めた(福井大学 山本委員提供のデータ)。