調査の結果、海域には甲楽城断層に相当するF−0断層とその北西方延長に
T−0撓曲を確認した。また、その他にF−1断層、F−2断層およびF−3断層を確認した。
F−0断層は、海上保安庁水路部(1980)がNo.16およびNo.17測線のシングルチャンネル音波探査記録の解析から推定した断層であり、甲楽城断層に相当する。同記録の再解析でも、東側(隆起側)のB層と西側(沈降側)のP1層、P2層がF−0断層(甲楽城断層)を境に接していることが認められた。
T−0撓曲は、F−0断層(甲楽城断層)の北西延長上に位置するLine7測線で認められた撓曲(断層を伴わない局部的な地層の撓み)構造である。同撓曲はP1層中の小断層を除くと、各層の反射面は連続し、より緩やかな変形を示すことから、F−0断層とは性状が異なり、F−0断層と区別した。
F−2断層とF−3断層は、いずれも北北東−南南西から南−北の走向を示す明瞭な逆断層であり、F−2断層では最大 330mに達するB層上面の垂直変位が認められる。
以上のように、甲楽城断層は干飯崎沖合から北西方に延びるF−0断層として確認された。しかしその北西部では撓曲構造(T−0撓曲)は認められが、明瞭断層は確認されなかった。このことから、同撓曲を甲楽城断層の北西端の終息域と判断した。
なお、F−0断層の活動性については、両側で変位量を推定できる地層を確認できなかったため、活動度の評価はできない。