1−1 柳ヶ瀬断層帯(柳ヶ瀬断層、山中断層、甲楽城断層)の概要

福井県の越前海岸から伊勢湾にかけての日本列島を横断する総延長140kmに達する断層系が知られている。この断層系は柳ヶ瀬−養老断層系と呼ばれており、北北西−南南東方向に連続する活断層群から構成されている。甲楽城断層はこの断層系の北端部に位置しており、その南南東方に山中断層、さらに柳ヶ瀬断層と連なっている。

甲楽城断層は最大400mの高さを持つ直線的な急崖が、越前町米ノから河野村大谷付近の海岸に沿って連続することから、地形学的に指摘されている断層であり(山崎、多田;1927)、断層海岸、すなわち海岸線の原形が断層運動によって形作られた海岸の典型例として、しばしば紹介されている。

活断層研究会(1991)は、甲楽城断層を越前町干飯崎沖合から河野村国道8号線敦賀トンネル北口付近までの長さ16km、確実度・、活動度B級、東側隆起の活断層として図示している。 山中断層は大谷南東から今庄東にかけて北西−南東方向に延びる長さ5kmの活断層である。同断層は谷の系統的左ずれ屈曲や貫入岩中の破砕帯からその存在が指摘されており、活断層研究会編(1991)は確実度、活動度C級、左横ずれ活断層と記載している。

柳ヶ瀬断層は滋賀県伊香郡木之本町木之本付近から余呉川低地、高時川上流および孫谷川上流に沿ってほぼ北北西方向に延び、今庄町板取付近に達する延長30kmの活断層である。同断層の一部が西暦1325年(正中2年)の地震の際、活動したことがトレンチ調査から指摘されている(杉山;1993)。

以上のように甲楽城断層、山中断層および柳ヶ瀬断層は日本列島を横断する主要な断層系である柳ヶ瀬−養老断層系の北部を構成する断層群であり、その活動の解明は福井県の防災計画上、重要と考えられる。