5−4−5 岡村断層

岡村断層では,西条市飯岡におけるトレンチ調査によって,5〜7世紀(岡田ほか,1988)あるいは4〜7世紀(山崎ほか,1992)に最新の活動が推定されている。その1つ前の活動は,約3,000年前(岡田,1988),B.C.1405〜925年(堤ほか,1992),2,000〜3,000年前(山崎ほか,1992)と推定されている。なお,Tsutsumi & Okada(1996)は最新活動時期を4〜12世紀と,また岡田ほか(1998)は最新活動時期を4〜7世紀より幅をもたせている。

一方,中田ほか(1998)は新居浜市岸ノ下におけるジオスライサーによる調査結果から,岡村断層の1,682±107AD以降の断層活動を推定している。これに対して,愛媛県のトレンチ調査は,岡村断層の最新活動時期を1,090〜960yBP(AD885〜1235年)と絞り込んでいる(愛媛県,1999)。この約1,000年前の活動を示す歴史資料は現在のところ発見されていない。

岡村断層の活動間隔は,トレンチ調査によって,1,000年前後か,もう少し長い程度と推定されている(岡田,1989)。一方,堤ほか(1992)は1,300年以上,またTsutsumi & Okada(1996)は1,300〜2,700年と推定している。これらを総合して,岡田ほか(1998)は,岡村断層の活動間隔は短く見積もると千年程度で,長めにみると千数百年程度と推定している。これに対して,愛媛県(1999)は,1,730〜2,290年で,約2,000年間隔と推定した。

以上を総合し,岡村断層の活動履歴を以下のように推定する。

@ 最新活動時期:1,090±40〜960±70yBP(AD885〜1,235年)

A 1つ前の活動時期:3,250〜2,820yBP

B 活動間隔:1,730〜2,290年(約2,000年のオーダー)

C 経過時間率:0.5程度