愛媛県内の池田断層では,川之江市金田町金川付近に右屈曲が認められ,右屈曲部付近に凹地状地形が形成されている。この凹地状地形は小規模なプルアパートベーズンを形成している可能性が考えられ,幾何学的には,池田断層西部と池田断層東部の異なったセグメントに区分される可能性がある。
池田断層西部は,和泉層群分布域中を通っている。空中写真判読調査では,変位地形の可能性が高いリニアメントが断続的に認められる。法皇山脈から流下する扇状地性堆積物が厚く堆積しており,断層露頭は確認できなかったが,広島大学によるトレンチ調査で,完新世における断層活動が判明している。西端部付近では低断層崖を境に地形面は北側低下のセンスを示していること,また,寒川断層東部は南側低下のセンスを示していることから,寒川断層東部と池田断層西部の間の凹地はプルアパートベーズンである可能性が考えられ,池田断層西部と畑野・寒川断層は異なったセグメントである可能性がある。
池田断層東部は,和泉層群と三波川変成岩類の地質境界断層にほぼ一致し,東西方向に一直線状に分布している。空中写真判読調査では,河谷の系統的な右横ずれ屈曲などから,変位地形の可能性があるリニアメントが判読できる。