[本郷トレンチ]
石鎚断層ではこれまでにトレンチ調査の実績がなく,本トレンチ調査において活動履歴等の重要なデータが初めて得られた。本郷地点は,谷底低地と人工改変を受けたことが予想される中位段丘面との地形境界をなす低崖延長上の平坦面に位置する。
トレンチ調査の結果,高角度で南に傾斜する断層を確認できた。断層は,耕作土直下の地層まで変位・変形を与えており,沖積層および段丘堆積物中に少なくとも3回の活動履歴が解読できる(図4−6−1)。14C年代測定による本トレンチの堆積物の年代値とイベント解析から,本トレンチにおける石鎚断層の活動履歴は次の通りである。
@最新活動時期:420±60y.B.P.(AD1,410年)以降
A1つ前の活動時期:5,190±70〜1,200±70y.B.P.の間に少なくとも1回
B2つ前の活動時期:6,690±70〜5,190±70y.B.P.