断層面の傾斜は約30゜前後と低角度で右横ずれ運動が卓越する中央構造線としては緩い。また,和泉層群と三波川変成岩類の地質境界断層に認められる貫入岩は破砕を受けていないことから,貫入後すなわち中新世中期以降,大規模な断層運動はなかったものと推察される。
しかしながら,小河谷川の河床部で認められる断層露頭からは,断層が固結度のい良い扇状地礫層(低位段丘堆積物)を明らかに切っている様相が確認できることから,低位段丘堆積物が堆積中にも断層活動が起こったことが示唆される。
したがって,第四紀後期の活動を完全には否定できないが,変位地形の不明瞭さから,リニアメントは基本的には,侵食地形を反映しているものと推察される。