(1)トレンチ調査結果

岡村断層では,平成10年度に新居浜市岸ノ下西と岸ノ下東の2地点でトレンチ調査を実施した。

[岸ノ下西トレンチ]

新居浜市岸ノ下西地点は,比高1〜2mの低崖の延長部に当る沖積面に位置する。トレンチ調査の結果,高角度で南に傾斜する南側隆起の変位を示す断層が,東面に1条(F1断層),西面に2条(F1断層,F2断層)確認できた。これらの断層は,耕作土直下の地層まで変位を与えており,沖積堆積物中に少なくとも3回の活動履歴が解読できる(図4−5−1)。14C年代測定による本トレンチの堆積物の年代値とイベント解析から,本トレンチにおける岡村断層の活動履歴は以下のとおりである。

@最新活動時期:1,090±40〜960±70y.B.P.(AD885〜1,235)

A1つ前の活動時期:4,530±40〜2,230±80y.B.P.

B2つ前の活動時期:4,910±60y.B.P.以前

[岸ノ下東トレンチ]

新居浜市岸ノ下東地点は,低崖の連続性が絶たれた沖積面に位置する。トレンチ調査の結果,高角度で南に傾斜する断層を確認できた。断層は耕作土直下の地層まで変位・変形を与えており,沖積堆積物中に少なくとも3回の活動履歴が解読できる(図4−5−2)。14C年代測定,花粉分析による本トレンチの堆積物の年代値とイベント解析から本トレンチにおける岡村断層の活動履歴は次のとおりである。

@最新活動時期:1,820±40〜760±50y.B.P.(AD110〜1,300年)

A1つ前の活動時期:8,190±90〜2,040±60y.B.P.

B2つ前の活動時期:8,600±70〜8,530±60y.B.P.