4−4−4 中央構造線桜樹屈曲部

丹原町相之谷から丹原町臼坂の約5kmの区間は,中央構造線桜樹屈曲部に相当する。当区間は,山地のため,変位地形を判定する基準地形面が乏しいものの,連続性の悪いD(一部C)ランクのリニアメントがS字状に断続的に判読できる。Dランクのリニアメントは,鞍部地形を中心とし,横ずれや隆起を示す地形が認められないため,侵食地形の可能性が高いものと推察される。

断層の低下側(東側)に第四紀堆積物がほとんど分布しないことから,第四紀における断層活動は極めて低いと推定される。また,和泉層群と三波川変成岩類との間に分布する流紋岩質貫入岩(石鎚層群)には貫入後の断層変位,断層破砕は露頭では認められないため,貫入後すなわち中新世中期以降,大規模な断層運動はなかったものと推察される。また,川上断層西部,小松断層の活動度,分布形態から両断層のセグメント境界をなす可能性が高いものと推察される。

桜樹屈曲部では,トレンチ調査の適地は認められなかった。