(2)調査結果

(1) 反射法地震探査結果

反射法地震探査は,平成10年度に松山測線(延長0.6km)で実施した。

当測線では,リニアメントに対応する高角度傾斜の断層が認められ,断層により和泉層群の基盤岩深度に約270mの高度差(南側低下)があるものと推定された(図4−4−1)。

(2) トレンチ調査結果

重信断層では,平成10年度に高井西地点,高井東地点の2地点でトレンチ調査を実施した。

[高井西トレンチ]

松山市高井西地点では,沖積低地に認められる比高約0.5mの低崖(北側隆起)を対象にトレンチ調査を実施した。

トレンチ調査によって,ほぼ鉛直で北側隆起の変位を示す断層を確認することができた

。この断層は,耕作土もしくは盛土直下の地層まで変位を与えており,沖積堆積物中に少なくとも2回の活動履歴が解読できる(図4−4−2)。14C年代測定による本トレンチの堆積物の年代値とイベント解析から,本トレンチにおける川上断層の活動履歴は以下のとおりである。

@ 最新活動時期:990±40〜260±40y.B.P.(AD990−1,950年)

A 1つ前の活動時期:約8,000y.B.P.前後

[高井東トレンチ]

松山市高井東地点は,内川の側方侵食を受け,低崖からなるリニアメントの連続が絶たれた沖積低地上に位置する。トレンチ調査の結果,ほぼ鉛直で北側隆起の変位を示す2条の断層(南からF1断層,F2断層)を確認することができた。このうち,F1断層は,耕作土直下の地層まで変位を与えており,沖積堆積物中に少なくとも2回の活動履歴が解読できる(図4−4−3)。14C年代測定および土器片の鑑定(愛媛県教育委員会文化財保護課に依頼)による本トレンチの堆積物の年代値とイベント解析から,本トレンチにおける川上断層の活動履歴は以下のとおりである。

@ 最新活動時期:6〜12世紀のある時期以降

A 1つ前の活動時期:5,220y.B.P.〜6世紀(約1,500y.B.P.)