これらのリニアメントはENE−WSWの方向で,北側隆起をなし,川上および北方断層と同系列の活断層によって形成されたと推定される。
重信断層と伊予断層との境界部周辺に広がる,重信川によって形成された沖積平野には約3.5kmにわたってリニアメントが判読できないが,既存ボーリング調査資料による表層地質の検討から,重信断層は,高井西トレンチ地点から,N80°Eの走向で西方へ約1km追跡できる。また本断層は,さらに西方延長の伊予市八倉におけるN75°Eの走向で北側低下を示す低断層崖の可能性があるリニアメントに連続するように見える。そのリニアメントは,横“し”の字の分布形態を示すことから,右横ずれ断層である重信断層の末端隆起部である可能性が高い。また,八倉層が標高300m近くの高度まで分布することも,右横ずれ断層による末端隆起と考えられる。
一方,右横ずれ変位地形の卓越する伊予断層の東方延長部は,伊予市上野から田浦にかけて,数条に分岐し,八倉層分布域で追跡できなくなる。八倉における横“し”の字のリニアメントは伊予断層から北側へ約1km離れて分布するため,伊予断層とは連続しないものと思われる。
以上の分布形態および隆起沈降形態から重信断層の西端は伊予市宮下付近にあり,伊予断層には直接連続しないと考えられる。したがって,重信断層と伊予断層とのセグメント境界を伊予市宮下付近に設定する。