(2)ボーリング調査
ボーリング調査は,完新世における米湊断層の活動度を把握する目的で,伊予市尾崎地区で実施した。ボーリングによる地質断面図を,図4−3−2に示す。ボーリングコアによる地層対比から,D層(腐植物混じり砂)より下位の低位段丘堆積物に南上がりの変位を示す顕著な撓曲構造が推定され,低位段丘堆積物を構成する各層は北ほど層厚が厚くなる。撓曲による地層の鉛直変位量は,撓曲を挟んで南北に対比できる地層が認められないため,不明である。一方,低位段丘堆積物を不整合に覆う沖積層は,ほぼ水平に堆積しており,撓曲構造の推定位置Ko−3付近に有意な高度差は認められない。
長谷川他(1998)では,LU段丘堆積物は隆起側(南)で薄く,沈降側(北)で厚く堆積していること,3万年前の層準に最大約24mの上下変位を与え,上下方向の平均変位速度は最大約0.8m/千年であることを報告している。