(3)考  察

Ie−1とIe−2の間で,低位段丘堆積物基底面に約1.8mの高度差があり,南側が低下している。さらにシルト混じり礫層が南側で厚く堆積している。

したがってIe−1とIe−2の間で,低位段丘堆積物まで変位,変形を与えている断層が存在する可能性が高い。層厚変化が断層によるものと仮定すると,岡村層相当層堆積後に少なくとも1回の断層活動が推測される。

トレンチ調査により断層の存在を確認できる可能性が高いが,各層とも年代を特定できる試料に乏しいことから,活動時期の特定が難しいため,本地点でのトレンチ調査は断念された。

一方,上石床西地点は,河川からの隔離距離が長く,堆積物も比較的細粒で年代測

定試料の採取が期待できる。また,近接する地層抜き取り(ジオスライサー)調査で,1,524〜1,744A.D.という最新活動時期が報告されているが,トレンチ調査により得られた2,370±160〜1,500±140y.B.P.という最新活動時期と大きな隔たりがあるため,最新活動時期を再確認する目的でトレンチ調査を実施した。