(3)断層活動

本地点の鍵層であるb層(シルト層)基底部の標高は,Kn−1で EL=30.65m,Kn−2で EL=32.21mであり,2孔の水平距離10mに対し,約1.6mの高度差がある。また,地表面傾斜2°に対し,b層基底面の傾斜は10°で,有意な差と考えられる。したがって,Kn−1とKn−2の間には,沖積層に変位・変形を与えた断層が存在する可能性が高い。2孔間におけるb層基底面の高度差が断層に起因するものとすれば,b層基底面の高度差1.6mに対し,低崖(Bランクリニアメント)の高さが1mであることから,少なくとも2回の断層活動が推測される。しかしながら,断層を覆う堆積物が分布しない可能性が高く,最新活動時期の特定が難しいものと考えられる。

トレンチ調査により断層の存在を確認できる可能性があるが,各層とも年代を特定できる試料に乏しく,活動時期の特定が難しいことから,当初トレンチ地点としては選定されなかった。しかしながら,畑野断層のトレンチとして選定された市木地点で断層を確認できなかったため,当地点でトレンチ調査を追加実施した。