最新活動時期であるイベントTは,D層堆積後,A層堆積前であると推定される(図3−2−4,図3−2−5)。
14C年代測定によればD層中の腐植物から,520±40y.B.P.の14C年代値が得られている(表3−2−2)。また,その下位層であるE層からは420±60y.B.P.の年代値が得られており,わずかに年代値の逆転が認められる。しかし,両データはほぼ同年代値である事から,400〜500y.B.P.に断層運動が生じていると判断できる。一方,断層を覆っているA層中の年代はD層より古い年代値となっており,下位層準からの再堆積により古い年代値が得られている可能性が高い。したがって,イベントTの年代としては,若いE層中の年代値を採用し420±40y.B.P.(AD1,410年)以降と考えられる。
2) イベントU
最新活動の1つ前の活動時期と考えられるイベントUはi層堆積後,F層堆積前と推定される。
14C年代測定によればi層中の腐植物から,5,190±70y.B.P.の14C年代値が得られている(表3−2−2)。一方F層中の年代は1,220±70y.B.P.である。したがってイベントUの年代は,5,190y.B.P以降,1,220y.B.P.(AD665年)以前と考えられる。
3) イベントV
2つ前の活動時期は,K層堆積後,J層堆積前と推定される。
14C年代値によればK層中の年代が6,690±70y.B.P.である(表3−2−2)。J層からは年代値が得られていないが,東側法面からi層は少なくともJ層と同時かそれ以降に堆積していると考えられる。したがって,i層から5,190±70y.B.P.の年代値が得られていることからイベントVの時期は,6,690y.B.P.以降,5,190y.B.P.以前と考えられる。