東側法面において,D層がF1断層によって切断されている様相が確認できる。東側法面では,D層の上位にB,C層が分布しているが,F1断層直上付近では削剥されているため,B,C層がF1断層によって切断されているかどうかは不明である。一方,西側法面では,F1断層はA層によって覆われている。したがって,最新活動時期であるイベントTは,D層堆積後,A層堆積前であると推定される。
2)イベントU
西側法面において,i層以下の地層は南へ緩やかに傾斜しているのに対して,i層を覆っているF層はほぼ水平に堆積していることから,F層堆積前にi層以下の地層に変位・変形を与えた断層活動が推察される。したがって,1つ前の活動時期はi層堆積後,F層堆積前と推定される。しかしながら,東側法面では西側法面で認められるようなi層の傾斜構造が明瞭に観察されないことから,確実度はやや低い。
3)イベントV
K,M層は南へ傾斜しており,相対的に低下した方から,i,J層がアバットして厚く堆積していることから,i,J層堆積前にK層(およびM層)を南へ傾斜させるような断層運動が推定できる。したがって,i,J層はほぼ同時異相の関係にあると推定されることから,2つ前の活動時期は,K層堆積後,J層堆積前と推定される。
本トレンチにおける石鎚断層の活動履歴は以下のようである。
@イベントT(最新の活動時期):D層堆積後
AイベントU(1つ前の活動時期):i層堆積後,F層堆積前(やや確実度が低い)
BイベントV(2つ前の活動時期):K層堆積後,i層堆積前