本トレンチでは,東側法面に3条(F1,F’1,F2),西側法面に2条(F1,F3)の断層が確認できる。両法面に認められる断層はF1断層のみで,本断層の走向・傾斜はN77゚E,83゚N〜90゚であり,本断層の走向はほぼリニアメントの走向方向と一致している。本断層は,高角度で北落ちの傾斜を示し,沖積層に北側隆起の変位を与えている。
また,I層中には扁平板状礫が南方へ急傾斜する並びが見られ,これはF3断層の断層運動により再配列したものと考えられる。F3断層はI層上面まで達していないことから,活動時期はI層堆積中である可能性は否定できないものの,独立としたイベントと認定するには根拠が弱く,F3断層は,F1断層の派生断層とする方が自然であると考えられる。
各々の断層と地層の変形について,表3−10−2にまとめる。
表3−10−2 平山トレンチにおける断層と変形した地層の関係