(2)調査結果

ボーリング調査は地形判読結果および地表踏査結果を考慮し,推定断層位置を挟んで2本 (孔間隔10m,北からUk−2,Uk−1)実施した。さらに,地形面の年代決定と基盤岩深度の確認を目的にUk−1の南方約19mの地点でUk−3ボーリングを実施した。

各ボーリング孔の層相の特徴を以下に記載する。

UK−1 孔口標高:146.51m,掘進長:7.00m

Uk−1は低崖の裾で調査し,深度2.95mで着岩した。表層の0〜2.95mまでは,砂層,礫混じり砂層,礫層からなる段丘堆積物が分布する。礫は径1〜5cmの結晶片岩礫(亜円礫〜扁平板状礫)の他,径1〜15cmの角閃岩の亜円礫〜亜角礫を多く含んでおり,粗粒堆積物であるため,年代測定用試料は認められない。深度2.95〜3.30mでは,暗灰色を呈する破砕帯となっており,粘土〜角礫状を呈している。深度2.98mの試料によるX線解析方法では白雲母が,深度3.02m,3.20mの試料によるX線解析分析法では,イライトが含有されていることから,本破砕帯は泥質片岩と泥岩の混在であると推定できる。深度3.30mの破砕帯下面の傾斜は70°〜80°と高角度傾斜となっている。深度3.30mからは乳白色を呈した流紋岩が分布する。深度3.30〜5.20mまでは破砕・変質を受け,砂礫状〜粘土混じり砂礫状となっている。深度5.2m以深は,岩片状〜短棒状のコアだがヘアクラックが発達し,ハンマーの打撃で容易に砕ける。

 

Uk−2 孔口標高:146.51m,掘進長:13.00m

北側のUk−2では,深度9.0mで着岩した。表層の深度0〜9.0mまでは,礫混じり砂層および砂礫層からなる段丘堆積物が分布する。礫は,径1〜5cmの結晶片岩礫(亜円礫〜扁平板状礫)の他,径1〜10pの角閃岩の亜円礫〜角礫を多く含んでいる。深度9.0〜9.9mは,暗灰色を呈する破砕帯となっており,粘土〜角礫状を呈している。また,鏡肌および稿状構造が認められる石英粒を介在する。深度9.1mの試料によるX線解析分析法ではイライトが,深度9.8mの試料によるX線解析分析法では白雲母が含有されていることから,本破砕帯は泥質片岩と泥岩の混在であると推定できる。

深度9.9mから乳白色を呈した流紋岩が分布する。深度9.9〜11.2mまでは,破砕・変質され,岩質は脆く,砂礫状から粘土混じり砂礫上となっている。深度11.2m以深は岩片状〜短棒状のコアだが,ヘアクラックが発達し,ハンマーの打撃で容易に砕ける。

 

Uk−3 孔口標高:149.94m,掘進長:5.00m

Uk−3では,深度0〜1.7mまで礫混じり砂および礫からなる段丘堆積物が分布する。礫は,新鮮硬質な角閃岩礫であり,棒状コアを主体とする。粗粒堆積物であるため,年代測定用試料は認められなかった。着岩深度は1.7mで,1.7m以深は乳白色を呈した流紋岩からなる。深度1.7〜2.0mまでは強風化を受け,橙色を呈している。深度2.0m以深では,概ね新鮮であるが,羽毛状の割れ目が多く,ハンマーの打撃で岩片状〜礫状に砕ける。