(1) 地 形
上野地区西部では,石鎚山脈と平野との直線的な地形境界に沿って,中央構造線活断層系石鎚断層が西南西−東北東方向に走っている。また,石鎚山脈より北流する関川によって形成された低位段丘面や石鎚山脈山麓から北流する河川によって形成された扇状地性の沖積面が広範囲に分布している。これら低位段丘面や沖積面には明瞭な低崖が西南西−東北東方向に断続的に形成されている。
内ノ川調査地点では,リニアメント(Aランク)はLU段丘面とLV段丘面との境界に位置し,比高約1.7mの低崖(北側低下)と対応する。また,石鎚断層のリニアメントは,地質境界断層とほぼ一致する部分と北方にわずかにずれる部分が存在する。低崖は関川河床の貫入岩および和泉層群の大規模な破砕帯部延長上に位置し,断層崖である可能性が高い。
(2) 地 質
本地域の地層は沖積扇状堆積物,低位段丘堆積物(LV段丘面),および基盤岩で構成されている。段丘堆積物は,関川によって供給された堆積物からなり,地表付近は,主として,砂あるいは礫混り砂で構成されている。礫種は,結晶片岩あるいは角閃岩を主体とする。また,本地域に分布する基盤岩は泥質片岩,泥質岩および流紋岩質貫入岩からなる。
関川河床では,赤石橋橋架下において泥質片岩と流紋岩質岩との境界が観察できる(図3−1−2のスケッチ−3,境界面の走向・傾斜:N74°E・70°N)。橋架下から北方約75mまで流紋岩質岩が分布しており,北端部で泥質破砕岩および流紋岩質破砕岩で構成された断層破砕帯が確認できる(図3−1−2のスケッチ−1,2)。
和泉層群と流紋岩との活動度が高いと思われる断層面は,ボーリングによる確認位置と関川河床の露岩状況から,N80°E・42°Nの走向・傾斜であると考えられる。
なお,関川の東方約400mを北流する細谷川は,山麓の出口に明瞭な扇状地を形成している。岡田・堤(1990)によれば,高速道路工事中に出現した細谷川右岸側の露頭で,2層準のテフラを確認しており,地表下0.5〜2.5mの礫層中に認められる淡赤橙色のテフラを鬼界アカホヤ火山灰と,地表下約10mに認められる淡赤黄色のテフラを姶良Tn火山灰と同定している。