(2)解析結果

図2−5−37によれば,平成8年度探査C測線のCMP120では,Bランクリニアメントに対応する箇所で,重力滑動に起因すると考えられる根なし断層が,音地測線では深部にのみ断層が認められた。

音地測線では,米湊断層が東方に連続するとすれば,CMP80付近の沖積面(AU)と低位段丘面(LV)との地形境界に推定され,この地形境界を横断するように測線を設定した。

測線沿いの地質は,P波速度,反射面の強さ等から,地表から標高0m付近までは沖積堆積物,低位段丘堆積物,標高−80m付近までは更新統前期〜中期の八倉層相当層,標高−270m付近までは鮮新統〜更新統前期の郡中層相当層,それ以深は和泉層群に対応するものと推定される。八倉層相当層はP波速度が約2,200m/sec未満,郡中層相当層は2,200〜2,600m/sec程度,和泉層群は3,000m/sec以上と考えられる。音地測線CMP40〜210,深度250〜350m付近の和泉層群のブロックは,P波速度が2,700〜3,900m/sec程度で,新鮮な和泉層群としては速度値が小さい箇所を多く含む。

この低速度値の和泉層群の下位,CMP40〜120,標高−420m付近では,強い反射面が認められ,不整合面の食い違いから,和泉層群と郡中層相当層とが接する逆断層が推定される。

断層が測線の端にあるため,断言はできないが,和泉層群より上方の郡中層相当層に明瞭な変形構造が認められないことから,その活動度は低いものと考えられる。

CMP80付近の地形境界下の八倉層相当層,郡中層相当層には,地層の乱れはない。

したがって,第四紀後期の地層まで変位・変形を与える米湊断層は,伊予市米湊東方では不明瞭となり,伊予市上三谷地区までは連続しないものと考えられる。