A 速度解析
速度解析で得られる速度値は重合速度と呼ばれ,地層がほぼ水平の場合には近似的にRMS速度に等しいと見なされている。速度解析は次の手順で行った。
a. 推定される重合速度の範囲のなかで,120種の速度を等分に仮定する。
b. 各速度でNMO補正を行い,オフセットによらず反射波が同じ時刻に並ぶ速度と時間を求める。
c. 図から直接速度を読み取ることもできるが,労力および精度に問題があるため,CMPアンサンブルのデ−タを定速度でNMO補正した後に,
イ. 狭い時間ゲ−ト内でのトレ−ス間の相関(センブランス)を求める
(速度スペクトル法)
ロ. 全てのトレ−スを加算して1本のトレ−スとする(C.V.S.法,constantvelocity scan)などの方法で整理する。
d. 実際には全デ−タを用いた場合には,イ.,ロ.の方法でもCMPの数だけ図が得られるため,読み取りを自動的に行い,これを整理して重合速度を決定する。
図2−5−9、図2−5−10、図2−5−11、図2−5−12、図2−5−13、図2−5−14、図2−5−15に,上記の方法で求めた速度解析結果を示す。図中○印は,上記のイ.で求めた結果,また×印はロ.で求めた結果である。印の大きさはセンブランスあるいはパワ−の大きさを示している。
Bτ−pフィルター
τ−pフィルターは、弾性波記録断面上で、ある傾斜をもったノイズを除去するフィルターである。弾性波探査においては多重反射波や、ケーブル(パイプ)ノイズ、あるいは表面波や回折波によって、所望の反射波のS/N比が悪くなることがある。このような場合は重合によってもS/N比は向上しない場合が多い。
しかし、これらの波は一般に特定の速度を持つため、時間−空間領域で、ある傾斜の波を弱めることにより反射波を強調することが可能となる。実際には時間−空間領域の波形データをτ−p領域(インターセプトタイムとスローネス)に変換し,ミュートその他の処理を施したあと,時間−空間領域に逆変換するという手順をとる。