本地域は,石鎚断層崖の北方にあたる複合合流扇状地性の平野で,石鎚山脈を発端として南から北へ流れる河川によって低位段丘面が形成されている。LU段丘面(北側)とLV段丘面(南側)との地形境界には,西南西−東北東方向にAランクのリニアメントが判読される。リニアメントは,比高1〜3mの南側低下の逆向き低崖からなる。低崖は,北側へ緩やかに傾斜している低位段丘面に対して,南側に凹地状地形を形成するようにほぼ東西方向に連続しており,周辺の河川の流向とほぼ直交することから,低崖は侵食により形成された侵食崖であるとは考えにくく,断層運動によって形成されたものと判断される。
寒川断層の一般的傾向としては,北側が低下しているが,上述するように東端となる当地域では南側が低下している。
当地域では,自然露頭がほとんど認められなかった。愛媛県(1982)による「土地分類基本調査(伊予三島)」によれば,低位段丘堆積物は,地表から0.5mまでは砂質粘土を主体とし,それ以深は,砂礫層からなるようである。