本地域の畑野断層は,石鎚断層の北側約500mを石鎚断層とほぼ平行に走っている。
畑野地区西部では,和泉層群,岡村層相当層および高位段丘堆積物で構成された丘陵性台地が発達し,丘陵性台地に横ずれ変位が明瞭に観察できる。また丘陵性台地を下刻した河川も断層によって平均150〜200m右横ずれしていることが,岡田(1971,1973)により報告されている。
本地域に分布している岡村層は,和泉層群を不整合に被覆している。長谷川ほか(1999)によれば,本層は礫径10〜50cm程度の巨礫(円〜亜円礫)が卓越する淘汰の著しく悪い礫層で,片岩および角閃岩の礫を含むことから,古関川起源の扇状地堆積物と推定されている。また,高位段丘構成層は,淘汰のよい亜円〜亜角礫の大礫を主体とする扇状地堆積物からなり,長谷川ほか(1999)では,上部礫層と下部シルト層に区分されている。礫種は泥質片岩および砂質片岩からなり,超塩基性岩を含まない。
畑野地区東部では,和泉層群,高位段丘面で構成された丘陵性台地が分布し,西谷川や浦山川によって低位段丘面や沖積面が形成されている。浦山川左岸では,低位段丘面や沖積面上に北側低下のリニアメント(A〜Bランク)が判読される。リニアメントは,比高1〜2mの低崖からなり,低崖の方向は西南西−東北東方向で,石鎚山脈より北流する浦山川と直交する。また,低崖の南側の低位段丘面は,浦山川の流路方向とは逆の南へ傾斜している。
浦山川西方の「やまじ風公園」が造成された丘陵性台地では,和泉層群が山頂近くまで露出し,山頂付近に高位段丘相当層がわずかながら残存している。