当地域は,和泉層群からなる山地を発端として,南東から北西方向に流れる森川の東側にあたる。森川の氾濫によって形成されたと考えられる低位段丘面,沖積面が広範囲に分布し,わずかに中位段丘面が残存する。ここでは,LU段丘面と沖積面との境界に比高5〜6mの高度差が認められ,この段差は撓曲によるものと考えられる。ただし,沖積面における撓曲ははっきりしない。
伊予市本郡では,米湊撓曲を対象に既存調査として,反射法地震探査とボーリング調査が実施されている(長谷川ほか,1999)。反射法地震探査によると,地表における撓曲構造の地下には,南へ50°前後傾斜する逆断層が推定されている。また,ボーリング調査によって米湊断層の上下方向の平均変位速度が約0.8m/千年と推定されている。
長谷川ほか(1999)によるボーリング調査結果によれば。LU段丘堆積物はシルト質礫層を主体とし,砂質シルト層,腐植質シルト層を介在する。礫は,結晶片岩および砂岩からなり,わずかながら変質した流紋岩も含まれる。一方,沖積面を構成する沖積層は,シルト質礫層および砂礫層で構成される。