(1)地形面区分

調査地域の段丘面は,調査地域の南側に位置する石鎚山脈より流出する小河川によって形成された扇状地性の段丘面あるいは大きな河川沿いの段丘面に大別される。段丘面は9段に区分され,高位のものからHT,HU,MT,MU,LT,LU,LV,AT,AU段丘面と呼ぶ。これらの段丘面の分布は断片的なものもあるが,多くは調査地域全域に普遍的に存在する。

段丘面の推定年代および対比を表2−2−2に示す。

地形区分図は図2−3−1−1図2−3−1−2図2−3−1−3図2−3−1−4図2−3−1−5図2−3−1−6地形地質分類図にまとめて示した。

次に各段丘面について説明する。

HT段丘面

本段丘面は,川之江市金生川以東の山間部では山地内を流れる小河川沿いに,あるいは山地と平野の境界部に扇状地性の段丘面として認められるが,分布は断片的である。

開析が進み,段丘外縁部は丸みを帯びている。尾根状を呈するところもある。また,個々の段丘面の分布は小規模である。M段丘面群以下より傾斜が大きい。

HU段丘面

本段丘面は川之江市金生川沿いの山間部では山地内を流れる小河川沿いに,また,伊予三島市上柏町では山地と平野の境界部に扇状地性の段丘面として局所的に認められる。HT段丘面との比高は数mである。

段丘面の外縁部は丸みを帯びており,個々の段丘の分布は小規模である。下位の段丘面とは有意な高度差をもち,急勾配である。

MT段丘面

本段丘面は主に,山地より平野へと張り出す扇状地性の段丘面として認められる。発達は悪く分布も断片的である。

段丘外縁部は丸みを帯び,段丘面上にはわずかな起伏が認められる。開析が進んでおり,個々の段丘面の分布は低位段丘面群以下と比べて小規模である。本段丘面は開析度,上下の段丘面との関係から,南関東の下末吉面相当と推定される。

MU段丘面

本段丘面も扇状地性の段丘面を呈しており,上位のMT段丘面の数m下位に分布する。伊予三島市豊岡町大町,上柏町では比較的広い段丘面を形成している。

開析が進み個々の段丘面の分布は小規模だが,MT段丘面より平坦である。段丘面上に小さな起伏が認められることもある。

本段丘面は南関東の小原台面相当と推定される。

LT段丘面

本段丘面は,扇状地性の段丘面として比較的広範囲にわたって分布している。

段丘面は平坦であるが,開析はやや進み,段丘面の中央部まで谷が入ることもある。

本段丘面は開析度,上下の段丘面との関係から南関東の武蔵野面相当と推定される。

LU段丘面

LU段丘面は本調査地域内で最も発達する段丘面である。特に伊予三島市具定町〜下柏町では最も広い段丘面を形成している。主に山地より張り出した扇状地性段丘面を呈する。

本段丘面は保存が良く,広い段丘面を形成している。段丘面上は平坦であるが,扇状地段丘面を呈するところでは,しばしば小さな起伏が認められる。

本段丘面は南関東の立川面相当と推定される。

LV段丘面

LV段丘面は,伊予三島市具定町〜下柏町ではLU段丘面の上に小規模に張り出す扇状地として認められる。

段丘面の保存は極めて良く,あまり開析されず平坦である。本段丘面は南関東の青柳面相当と推定される。

A段丘面(AT,AU段丘)

本段丘面は調査地域内に分布する最下位の段丘面である。主に大きな河川沿いに現河床との比高数〜10mで分布する。特に扇状地性の段丘面を呈し,これらを上位よりAT,AU段丘面とした。しかし,これらの呼称は各地域で細分される段丘面を便宜的に区分したものであって,各地域間で対比できるものではない。

これらの他に土石流扇状地,崖錐,地すべり地形(明瞭・不明瞭)も区分した。また,段丘の形態および段丘面の分布についてまとめた(表2−2−3)。