高井西トレンチにおける，Ｃ４層基底の上下変位量は約１．１ｍである。これは，３回の断層活動による累積変位とみなせば，１回当たりの上下変位量は０．３７ｍとなる。重信断層の活動間隔が３，５００〜４，０００年と仮定すれば，上下方向の平均変位速度は約０．１ｍ／千年と算出される。

高井東トレンチでは，Ｅ層の上下変位量は約１．４ｍである。これは，２回の断層活動による累積変位とみなせば，１回当たりの上下変位量は０．７ｍである。重信断層の活動間隔が３，５００〜４，０００年と仮定すれば，上下方向の平均変位速度は約０．２ｍ／千年と算出される。

川内町北方におけるボーリング結果から，０．２ｍ／千年の平均変位速度が求められる。

以上のように，重信・北方・川上断層（西部）では，東ほど上下方向の平均変位速度（Ｓｖ）が大きくなっている（図４−６−１）。これは，右横ずれ断層の東半部の特徴と一致する。

図４−５−１　重信・北方・川上断層（西部）における上下方向の平均変位速度

２） 右横ずれ変位

岡田（１９９２）は，川上断層の活動度をＢ級と評価しているが，トレンチ調査では，右横ずれ変位量は求められなかった。地形学的には川上断層は，右横ずれ変位が卓越すると推定されるので，上下変位量の数倍程度の右横ずれ変位が推定される。

３） 中央構造線桜樹屈曲

本区間では，変位地形が不明瞭なため，平均変位速度を評価する資料は得られていない。