(3)試料分析

トレンチ壁面およびボーリングコアから試料を採取し,14C年代測定,土器片鑑定および花粉分析を実施した。

(1)14C年代測定

トレンチの各層から採取した試料の14C年代測定結果を表3-4-7,KiBボーリングコアの14C年代測定結果を表3-4-8に示す。

これらによると

①A~D層は約2,000y.B.P.以降の堆積物で,EおよびF層(8,000y.B.P.以前の堆積物)との間に約6,000年の時間間隔がある。

②断層南側に分布するJ,K,L層は約1万年前後の堆積物で断層北側のG,H層の下位層に相当する事が確認された。

③KiBボーリングのⅠ層は約2.7万年前の14C年代値を示すことからLⅢ段丘堆積物に対比される。

(2)土器片鑑定

B層から採取された土器片は,愛媛県教育委員会文化財保護課によって6世紀以降の様式を持つ須恵器と鑑定された(表3-4-9)。

(3)花粉分析

花粉分析の結果を表3-4-10に示す。

①KiB-P1は花粉の含有が少なく,ヨモギ属等の草本花粉を主体としている。

②KiB-P2は,コナラ亜属を主体とする事から晩氷期または最終氷期最寒冷期直前と推定される。また,Ⅰ層から得られた14C年代値は,26,790±60y.B.P.であることから,KiB-P2は最終氷期最寒冷期直前の約29,000年前頃の堆積物と推定される。

③KiB-P3からは花粉は産出しなかった。

以上の分析結果をとりまとめると,本地点の堆積物の年代は以下の様にまとめられる(表3-4-11)。

A層:約800y.B.P.以降

B層:約1,700~1,100y.B.P.

C層:約1,800~1,700y.B.P.

D層:約2,000~1,800y.B.P.

E層:不明(約8,000~2,000y.B.P.の間)

F層:約8,500~8,200y.B.P.

G層:約8,600y.B.P.前後

H,J層:約11,000~8,000y.B.P.

K層:約11,500y.B.P.前後

L層:約1,2000y.B.P.以前