ボーリング調査はA測線(リニアメントを挟んで南側がAT面,北側がLU面)で実施した。リニアメントを挟んで,北側がKi−1孔(調査深度=23m),南側がKi−2孔(調査深度=30m)である。
(2) 調査結果
両地点のボーリングコア内の地質状況は下記のとおりである。
Ki−1 孔口標高:EL=162.26m,掘進長:23.00m
0.00m〜0.30m
礫混じりシルトからなる耕作土
0.30m〜3.40m(B層)
黄褐色を呈するシルト混じり砂層。指圧で砕ける程度に風化した砂岩礫を主体とする。
3.40m〜10.00m(C1層)
灰〜オリーブ灰色を呈する玉石混じり砂礫層。礫は概ね新鮮硬質な径1〜5cmもしくは径5〜10cmの砂岩。礫と礫の間隙を中粒〜粗粒砂が充填する。
10.00m〜13.20m(C2層)
黄褐色を呈するシルト混じり砂礫層。中硬質〜軟質化した砂岩礫を主体とする礫層。礫と礫の間隙を黄褐色化した砂およびシルトが充填する。
13.20m〜16.85m(D層)
灰〜灰黄褐色を呈する砂層。径1〜2cmの砂岩礫と腐植物を混じえる。
16.85m〜19.65m(E層)
灰〜黄褐色を呈する砂礫層。礫は,新鮮硬質〜半クサリ礫化した砂岩を主体とする。
部分的に径5〜10cmの玉石を混じえる。礫と礫の間隙を褐色化した砂およびシルトが充填する。
19.65m〜23.00m(F層)
黄灰褐色を呈するシルト質砂礫層。礫は半クサリ礫化した砂岩を主体とし,礫と礫の間隙を褐色化した砂および半固結状のシルトが充填する。
Ki−2 孔口標高:EL=155.88m,掘進長:30.00m
0.00m〜0.10m
木根混じりシルトからなる耕作土
0.10m〜0.90m(A層)
褐色を呈するシルト混じり砂層。腐植物を混じえる。
0.90m〜4.80m(B層)
黄褐〜灰褐色を呈するシルト混じり砂層。指圧で砕ける程度に風化した砂岩礫を主体とする。
3.40m〜9.00m(C1層)
灰〜灰褐色を呈する玉石混じり砂礫層。礫は概ね新鮮硬質な径1〜5cmもしくは径5 〜10cmの砂岩。礫と礫の間隙を中粒〜粗粒砂が充填する。
9.00m〜16.20m(C2層)
褐〜灰色を呈するシルト混じり砂礫層。礫は径1〜5cmもしくは径5〜10cmの中硬質〜新鮮硬質な砂岩を主体とする。礫と礫の間隙を黄褐〜褐色化した砂およびシルトが充填する。
16.20m〜19.30m(D層)
灰〜灰黄褐色を呈する礫混じり砂層。礫は径1〜2cmの砂岩。砂は中粒〜粗粒砂でシルト分を介在する。
19.30m〜30.00m(E層)
灰〜黄褐色を呈する砂礫層。礫は,新鮮硬質〜半クサリ礫化した砂岩を主体とする。
部分的に径5〜10cmの玉石を混じえる。礫と礫の間隙を褐色化した砂およびシルトが充填する。また,砂層をレンズ状に介在する。
北方地点のボーリング調査による地質断面図を図3−2−8に示す。これによれば,リニアメント南側の表層部に沖積層が認められるものの,主には段丘堆積物からなる。
沖積層は,Ki−2孔のGL−0〜GL−1mでAの砂層のみである。段丘堆積物は,Bのクサリ礫化した礫層,Cの腐植物を伴う礫層,Dの砂層,Eの礫層,Fの半クサリ礫化した礫層の層序に区分される。
Dの砂層は厚さ約3mで、本地点の鍵層となっている。
Bのクサリ礫化した礫層の基底面の高度差は約7m,Dの砂層基底面の高度差は約9mで、いずれも北上がりの変位を示している。