(3)試料分析

トレンチ壁面から試料を採取し,14C年代測定および土器片の鑑定(愛媛県教育委員会文化財保護課に依頼)を実施した。分析結果を表3−1−6表3−1−7を示す。また,各層の年代測定値の集約表を表3−1−8に示す。これらに基づく堆積物の年代は次のと おりである。

A 層:数百年前より新しい。

A層から得られた3,730±40y.B.P.,4,690±40y.B.P.の14C年代値は,現地性の腐植土ではなく,黒褐色砂〜シルトを測定したため,古い時代の炭質物の再堆積の可能性が高い。

B 層:6〜12世紀のある時期以降

6〜12世紀に生産された須恵器片が産出することから,6〜12世紀のある時期以降の堆積物と判断される。本層から,2,940±40y.B.P.〜4,560±40y.B.P.の14C年代値が得られているが,須恵器の産出と矛盾する年代を示している。したがって,これらの 14C年代値は,現地性の腐植土ではなく,黒褐色砂〜シルトを測定したため,古い時代の炭質物の再堆積の可能性が高い。

C,D層:約5,000〜1,500y.B.P.

C層から得られた6,960±40y.B.P.,D層から得られた6,700±50y.B.P.の14C年代値は,砂層中のシルトブロックを測定したため,堆積物よりも古い年代を示す可能性が高い。

E 層:5,200y.B.P.前後

F〜J層:6,400〜5,200y.B.P.

K 層:6,400y.B.P.より古い。

表3−1−8 高井東地点の試料分析結果と層序区分