(1)ボーリング調査結果

(1) 概 要

高井東地点のボーリング調査は,試掘調査で断層を確認できたため,トレンチ規模の決定と深い箇所の層序の確認を行う目的で,リニアメント延長上の水田上で実施した。調査位置を図3−1−14に,地質断面図を図3−1−15に示す。地質断面図は,トレンチ調査の結果をも考慮して作成した。

ボ−リング調査により,南へ緩やかに傾斜する撓曲構造を把握することができた。

(2) 調査結果

ボ−リング調査は,試掘を行った水田内で,北からTD−1,TD−2,TD−3の3本実施した。各地点のボーリングコア内の地質状況は下記のとおりである。

TD−1 孔口標高:EL=51.81m,掘進長:10.00m

 0.00m〜0.20m

  砂質土からなる耕作土

 0.20m〜2.60m:A〜C層

  灰褐色を呈するシルト質な砂層。砂岩の細礫を混じえる。

 2.60m〜3.25m:E〜J層

  灰褐色を呈する砂質シルト層。腐植物を部分的に介在する。

 3.25m〜10.00m:K層

  径5mm〜2cmの新鮮な砂岩礫と頁岩礫(亜円礫)を主体とするシルト混じりの礫層。径15cmの玉石を混じえる。礫と礫の間隙をシルト〜砂が充填する。

TD−2 孔口標高:EL=51.81m,掘進長:10.00m

 0.00m〜0.20m

  砂質シルトからなる耕作土

 0.20m〜2.20m:A〜D層

  灰褐色を呈するシルト質礫層〜シルト質砂層。礫は,径5mm〜2cmの新鮮な砂岩礫と頁岩礫(亜円礫)を主体とする。

 2.20m〜4.55m:E〜J層

  灰褐色を呈するシルト質砂層〜シルト質礫層。シルト砂層中に腐植物が部分的に介在する。

 4.55m〜10.00m:K層

  径5mm〜2cmの新鮮な砂岩礫と頁岩礫(亜円礫)を主体とするシルト混じりの礫層。径10cmの玉石を混じえる。礫と礫の間隙をシルト〜砂が充填する。

TD−3 孔口標高:EL=51.19m,掘進長:10.00m

 0.00m〜0.30m

  砂質シルトからなる耕作土。

 0.30m〜2.40m:D層

  暗灰色を呈する礫層。礫は,径5mm〜2cmの新鮮な砂岩礫と頁岩礫(亜円礫)を主体とする。礫と礫の間隙を中砂〜粗砂が充填する。

 2.40m〜4.10m:F〜J層

  暗灰〜褐色を呈する砂〜シルト層。腐植物を部分的に介在する。

 4.10m〜10.00m:K層

  径5mm〜2cmの新鮮な砂岩礫と頁岩礫(亜円礫)を主体とするシルト混じりの礫層。径15cmの玉石を混じえる。礫と礫の間隙をシルト〜砂が充填する。

これらのボーリング調査から作成した地質断面図を図3−1−15に示す。図3−1−15によれば,表層の耕作土を取り除けば,概ね,旧河床堆積物であるシルト質礫層(A〜D層:厚さ2.0〜2.5m),重信川の後背湿地であるシルト層(E〜J層:厚さ2.9m〜4.3m)と旧河床堆積物である砂礫層(K層:厚さ0.5m〜1.5m)に区分できる。ただ,TD−3地点では,耕作土直下に礫層が分布し,A,B層を欠いている。

J層(シルト層)の基底面は,TD−1:EL=48.56m,TD−2:EL=47.26m,TD−3:EL=47.09mである。したがって,TD−1とTD−2の間には,砂〜シルト層の基底部に約1.4mで南落ちの変位が認められ,この間に断層の存在が推定される。ただし,明確な断層変位を伴わず,地層は全体として南へ緩やかに傾斜する撓曲構造をなしているものと考えられる。