(2)石鎚層群

調査地域の南東部には,石鎚層群に属する黒雲母安山岩およびデイサイトが分布している。

黒雲母安山岩は,上灘から大平にかけて和泉層群の南部に貫入しており,明神山の山体を形成している(堀越,1964)。本岩は,黒雲母の斑晶を含み,一部は熱水変質を受け白色化している。また,本岩は,和泉層群との角礫状になっているところがある。

デイサイト〜安山岩は,高野川付近の和泉層群に貫入している。本岩は,黄灰色〜青灰色を呈し石英を含んでいる。海岸部に露出するデイサイト(Iy−2)は,熱水質を受け角礫および粘土化している。

これらの貫入岩類の一部は,伊予断層に伴う和泉層群の破砕帯にも貫入し(Iy−4),貫入後の角礫状に破砕を受けている。高野川の沢(Iy−3の北)では,破砕部中の安山岩の岩塊から,12.2± 0.6MaのK−Ar年代が,また,高野川(Iy−4)のデイサイトからは,82.6± 4.1MaのK−Ar年代も得られている(四国電力,1985)。後者の年代は,白亜紀後期を示している。この年代は,石鎚層群の平均的な年代と比較して著しく古く, この岩石試料は,デイサイト中の捕獲岩の可能性がある。

図4−4−5 伊予断層の断層破砕帯に貫入したデイサイト(双海町高野川:Iy−4 )