8−2−2 中部地区

中部地区では、リニアメントは主として山地部と、山地部と河川沿いの間の2カ所に認められる。

古畑地区では、空中写真判読・地表踏査により、下流側から分布する段丘面の高度不連続と、リニアメントを挟んで上流側(北側)が埋積されたような、断層沈降地形を示すことが推定されていたため、沈降側でボーリング調査によって、実際に沈降しているかどうかの確認を行った。

その結果、3本のボーリングのいずれにおいても、リニアメント北側の基盤深度は、推定に反して浅く、断層沈降盆地ではなかった。したがってこの地形の成因としては、岩質の違いによる差別浸食によってこのような地形を生じた可能性が高いと考えられる。それは、リニアメントを挟んで、南側の基盤岩には変質していない比較的硬い岩質が認められるのに対し、北側は強く変質・破砕されているためである。

以上から、古畑地区では、活断層の存在する可能性は低いと考えられる。

竹ノ中地区では、オーガーボーリングによる年代測定を主とした調査を行った。その結果、他の河川と対比して、段丘面の形成年代が全般的に古いことがわかった。これは、過去には、段丘面を発達させるほど流域があったが、現在では、流域が河川争奪によって失われたことを暗示している。このような環境で、河床に近い低位の段丘面も、形成年代が古いことから、特に主リニアメントの北側が沈降している証拠は認められなかった。一方、主リニアメントを挟んだ南側の段丘面上では、ほとんど堆積物が残されておらず、河川の浸食力が強かったことを推定させる。リニアメント延長上に鏡肌が発達し、破砕された泥岩層が認められたため、地質断層については存在している可能性は高い。このように竹ノ中地区では、地質断層は存在するものの、活断層の存在を積極的に支持する調査結果は得られなかった。

以上より、中部地区で活断層の存在する証拠を認めることはできなかった。そのため、活断層の存在する可能性は低いと考えられる。