8−1−5 まとめ
以上、鴨川地溝帯北断層を3地区に区分し各種調査を実施した結果、西部地区及び中部地区では、リニアメントは地すべりによるものや、差別浸食の結果生じたものであり、変位地形を認めることが出来なかった。また、変位している可能性が高いとした東部地区についても、実際には崖錐の堆積した緩斜面を、人工的に平坦面とした可能性が高く、変位地形ではないことが分かった。したがって、北断層全般にわたって、活断層の活動を裏付ける証拠を認めることが出来なかった。このように、リニアメントは活断層ではなく、岩質の差などから生じる差別浸食の結果を反映しているとみられ、リニアメントに沿って弱層が形成されている可能性は十分にある。そのため、災害としては、元禄地震(1703年)や大正関東地震(1923年)などのプレート境界に発生する海溝型地震動によって、斜面崩壊、地すべりが起きる可能性が大きく、また、海岸部では津波等が発生する可能性があり、むしろそれらに対しての注意が必要である。