7 総合解析

鴨川地溝帯は、1925年、山崎により“加茂川地溝帯”と称されたことをはじめとする。村井・金子(1973,1975)では地形的な特徴から、鴨川地溝帯と命名し、房総半島南部を東西に横切る2つの断層に挟まれた、相対的な沈降地形を示す凹地状の地形として特徴づけられるとした。しかし地質的には、内部が沈降した証拠は認められていない。一方、近年では、地形的特徴から段丘面の分布等に着目した調査及び研究が実施され、活断層の存在する可能性が指摘されている。それぞれ鴨川地溝帯の北縁と南縁に東西に延長する活断層とされている(活断層研究会1991ほか)。本調査では、この鴨川地溝帯北断層と、鴨川地溝帯南断層とを合わせて、鴨川低地断層帯(科技庁,1997)と称している。平成10年度調査では、文献調査、地形調査、空中写真判読、現地踏査を実施し、精査箇所の選定を行った。その結果を地区ごとにまとめた。11、12年度調査では、抽出された差精査箇所について、実際にトレンチ調査、ボーリング調査、物理探査等を実施した。

本調査は、鴨川低地断層帯の活動性を明らかにするために、平成10年度から3カ年で調査を実施したものである。以下に、3カ年の調査の流れをフローチャートに示す。

図7−1 フローチャート、流れ図