本地区の地形的な特徴として、リニアメントを挟んだ北側では、地すべりが発達し、緩傾斜地形を示すのに対し、南側では、段丘面が発達し、急峻な地形を形成している。現在の特徴的な地形を形成するに当たっては、地区全体の隆起と岩質の違いによる浸食量の大小によって生じた可能性が高いと考えられる。
一方、リニアメントを挟んだ南側には小さな段丘面が発達し、いずれも被覆している堆積物が薄い。これは、古畑地区・竹ノ中地区と同様に、段丘面形成時に河川の浸食力が強かったと推定され、その原因として、調査地区全体が隆起している可能性があげられる。
以上より、高鶴地区には、活断層による変位地形は認められないため、活断層は存在しない可能性が高い。
以上の結果から、以下のように高鶴地区の形成史の推定を行った。
@ 6500年前
沼T面相当が形成される。リニアメントを挟んで、北・南の両側に形成されたと考えられる。
沼面形成以前も段丘面が形成されていたと考えられるが、リニアメント北側では全く認められず、南側にわずかに残存するのみである。
A 6500〜4500年前
沼U面相当の段丘面が形成される(リニアメント両側に形成されたと考えられる)。しかし、リニアメントよりも北側は、基盤の岩質が軟質であり、また、地すべりも発達するために、それ以前に形成されたT面は保存されず、結果としてU面のみが認められると考えられる。
B 4500年前以降
U面形成以降は、調査地付近では、段丘面の発達する様子は認められない(ずっと下流側には認められる)。