7−3−3 古畑地区(中部地区、平成12年度調査実施)

古畑地区では、空中写真判読・地表踏査結果より、丸山川下流側(リニアメント南側)からの段丘面の高度不連続と、リニアメントを挟んで北側が相対的に沈降し埋積されたような、断層沈降盆地状地形を示すことが推定されていたため、沈降側でボーリング調査を実施し、断層沈降盆地であるかどうかの確認を行った。実際に断層沈降盆地であれば、リニアメントの上流側で、細粒な堆積物が厚く堆積すると推定される。

その結果、3本のボーリング調査結果のいずれにおいても、リニアメント北側の基盤深度は浅く、第四紀層の堆積物はほとんど認められなかった。よって、推定された断層沈降盆地地形ではないことがわかった。

したがって、このような地形の成因は、リニアメント南側の硬質岩基盤、北側の軟質岩基盤分布(いずれも保田層群中の岩質の違い)による差別浸食によると考えられる。

以上から、南側の山地が一方的に隆起し、北側が沈降するような断層沈降盆地は存在せず、岩質の違いによる差別浸食によって形成された可能性が高い。よって、調査地区に活断層による変位等は認められず、活断層の存在する可能性は低い。

以上の結果から、古畑地区について、以下のように地形形成史の推定を行った。

@ 6600年前以前

6600年前、V面の形成が起こった。それより古い高位の面も、地形判読では認められる。しかし、分布範囲が狭く、地すべりが発達していることもあり、地形面がはっきりしないため、詳細は不明である。

リニアメント南側には段丘面が分布するが、ほとんど堆積物が分布していないため、オーガーで求められた年代値の精度には、やや問題がある可能性がある(約2200年前)。丸山川の段丘面の形成が、他の河川と同様であるなら、もう少し形成年代は古いと考えられる。

A 6600〜4000年前

6600〜4000年前頃、W面の形成がおこる。なお、先に形成されたV面の一部は、地すべりが発達しているために、堆積当時の地形面が保存されず、地すべり運動に伴い移動して変形したり、被われてしまった部分もあると推定される。

B 4000〜1500年前

現河川に沿ってX面が形成される。リニアメント南側の同じ高さの面で実施したオーガーによる年代値も、ほぼ同様である。現在の形態となる。